『ばけばけ』主人公の夫のモデルが書いた作品も…明治中期の「新聞連載小説」が豪華すぎる!〈風、薫る第50回〉『風、薫る』第50回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第50回(2026年6月5日放送)「風、薫る」レビューです(ライター 木俣 冬)

「廃娼運動の敵とは」とは?

『風、薫る』が第50回を迎えた。全体のほぼ3分の1を過ぎたところで、直美(上坂樹里)のみなしご設定について考えてみたい。なぜ、原案『明治のナイチンゲール 大関和物語』(田中ひかる著)で参考にした人物・鈴木雅とはまるで違う設定(鈴木は士族の出、直美はみなしご)にしたのか、その理由は、第50回に登場する「廃娼運動」と関わりがありそうだ。

「廃娼運動」とは、江戸時代、幕府が公認していた遊郭の廃止を目指す公娼制度廃止運動で、『明治のナイチンゲール』でも、りん(見上愛)の参考になっている人物・大関和がこの運動に尽力していたことが書かれている。

 病院に心中未遂で運び込まれた遊女・夕凪(村上穂乃佳)を助けようと、りんと直美は動き出す。直美は自分を捨てた遊女だった母(夕凪)と目の前にいる夕凪を重ね合わせ、りんは「廃娼運動」を行っている人の元へと向かう。

「廃娼運動」の文字がドラマに登場するのは、シマケン(佐野晶哉)が持っていた新聞のなかだ。

 シマケンが自作の小説を持ち込んだ新聞社の記事のなかに「廃娼運動の敵とは?」という記事が載っていた。

 ちなみに、シマケンの持ち込みは不発に終わったようで、彼はとても落ち込んでいる。

 その新聞では現在、「世相を反映した題材」の連載小説が人気。挿絵からして尾崎紅葉の『金色夜叉』(1897~1902 読売新聞)を意識したものと推察できる。あるいは、鳥(ナイチンゲール)つながりで徳富蘇峰の『不如帰』(1898〜99)か。いずれも悲恋ものである。

 さらに余談だが、当時の新聞小説にどんなものがあるか調べていたら、『ばけばけ』の主人公の夫のモデルであったラフカディオ・ハーンが『ゲイシャ』(1900年)という小説を書いていた。