昼食後、どうしても眠くなってしまう――その原因は睡眠不足だけではないかもしれない。消化と血流の関係から、眠気を和らげるための食べ方のヒントを整理する。
東京農業大学で栄養について長年研究し、医師としても活動する田中越郎氏の新刊『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』からヒントを探る。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)

【医師が教える】「食後に眠くなる人」が注意すべき2つのことPhoto: Adobe Stock

食後に眠くなるのは、脳への血流が一時的に減るから

食後の眠気は、意志の力でどうにかなるものではない。
その背景には、体の生理的なメカニズムがある。

食事をとると、消化器官がフル稼働する。
消化には大量の血液が必要なため、その分だけ脳に届く血液が一時的に減少する。
これが、食後に眠気や集中力の低下を感じる主な原因の一つとされている。

消化をゆっくりにすることで、眠気は和らげられる可能性がある

食後に眠くなる大きな原因は、脳への一時的な血流低下です。食後、消化器が働くとき、たくさんの血液を必要とし、その分、脳に行く血液が減るからです。
つまり、消化作業をゆっくり行わせれば、脳の血流減少も軽度ですみます。
そのためには、ゆっくり食べる、もしくは消化速度が遅くなるようにすることが必要です。脂肪や食物繊維を食べると、消化速度は遅くなります。
食後眠くなる人は、まずゆっくり食べること。そしてメニューにはサラダを加え、さらに可能なら少量の油ものを入れるといいでしょう。脂肪は消化に時間がかかるからです。
ただし、天ぷらやフライは脂肪が多過ぎです。サラダへの少量のオイル系ドレッシングや、ゆで卵、ハムなどの脂肪の量が多くないものにしましょう。

消化スピードを緩やかにすることで、血液が一気に消化器に集中するのを防ぎ、脳への血流低下を軽度にとどめられる可能性がある。
そのために有効とされるのが、食物繊維と脂肪だ。
どちらも消化に時間がかかる栄養素で、食事全体の消化ペースを緩やかにする効果が期待できる。

ただし、脂肪の量には注意が必要だ。
天ぷらやフライのように脂肪が多すぎると、胃への負担が大きくなり逆効果になることもある。
著者が勧めるのは、オイル系ドレッシングをかけたサラダ、ゆで卵、ハムなど、脂肪量が過剰にならない食品だ。

実践のポイントは「ゆっくり食べる」と「サラダを加える」

食後の眠気を和らげるための工夫として、著者は二つのことを挙げている。
一つはよく噛んでゆっくり食べること
もう一つはサラダをメニューに加えることだ。

特別な食品や高価なサプリメントは必要ない。
食べる速度を意識し、野菜を一品加えるだけで、食後の状態が変わってくる可能性がある。
ただし、効果には個人差があり、持病や体質によって適切な食事内容は異なる。
気になる症状がある場合は、医師や栄養士に相談することをお勧めしたい。

今日の昼食から試すなら、いつもより少しゆっくり食べ、サラダを一品加えることだけでいい。

(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事』をもとに作成しました。本記事は、医師による診断や治療の代わりとなるものではありません。健康状態に不安がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。)