人事が会いたいのは
明確な「トピックス」のある人
結論からいうと、人事に「会いたい」と思わせる職務経歴書には、明確なトピックスがあります。キャリアのトラックレコード(数字で明確に語れる実績や成果)の有無、と言い換えてもよいでしょう。
たとえば、大手商社からスタートアップに転職し、CXOとして年商数億円から数百億円規模に成長させ、年収5000万円を得ていたのに、それを手放して次の挑戦に向かっている――。
こうしたトピックスがあると、「一体何を考えてこの決断をしたのか」「どうしてここまで会社を大きくできたのか」と、聞きたいことが次々と浮かんできます。
ここまで派手な経歴ではなくても、「なぜここからこの会社に移ったのか」「なぜこのキャリアで、この部署に異動したのか」など、さまざまな「なぜ」が浮かぶ経歴は人事の興味を引きつけます。もちろんマイナスの「なぜ」ではなく、かつ土台となるトラックレコードがしっかりあることが大前提です。
インパクトのある有名企業に勤務している人も、書類選考では有利に働きやすい。ただ、誰もが知名度のある会社に在籍してきたわけではないので、こればかりはどうしようもありません。
だとすれば、勝負どころは「どれだけインパクトのある書き方で自分の経歴を表現できているか」。では、どうすればそれを出せるかといえば「数字」による表現に尽きます。
営業系の職種であれば達成率や対前年成長率がどれくらいか、あるいは案件金額の大きさや利益貢献に対するインパクトなど。スタッフ系であれば、コストを何%削減したか、業務効率を何%アップさせたかなど。数字で表現することが、最も分かりやすく説得力を持ちます。
誤解しないでほしいのは、「派手な成果」を持っている人に限った話ではないということ。組織における自分の役割に対する成果で十分なのです。
たとえば従業員100人規模の会社で人事システムの導入を任されたとします。
「半年でフル稼働させてほしい」と求められた要件に対し、5カ月でカットオーバー(運用開始)にこぎつけ、バグ対応とバージョンアップまで含めて予定通り半年でプロジェクトを完遂。そして業務時間を80%削減――。これで十分、数字で語れる成果になります。
目標設定能力も「仕事の能力」
上司が決めなければ自分で設定する
数字で語れるようにするには、上司との「握り」が必要になります。任された業務について、どうなれば評価されるのか。計測可能な目標と期限を、しっかり握って仕事をする。後から検証可能な形で残しておく。
正しい目標設定をするのは本来、上司の仕事です。しかし、世の中には行き届かない上司がいることも確かです。だからこそ、自分の側から「これを、いつまでに、ここまで」と握りに行く姿勢が大切です。目標設定能力もまた、仕事の能力のうちなのです。
優秀な人は、放っておいても自らこれをやります。経営数字から落ちてきた目標を受け止めたうえで「私はこういうこともやりたい」と自分から提案してきます。当社の社員にもそういう人がいます。受け身ではなく、自律的に動くのです。
「成果が曖昧でいやなんです」
「うちは目標設定をやっていないんです」
面接でそう語る応募者もいます。
「では、あなたはどういう目標設定で仕事をしてきたのですか」
そう聞き返すと、きちんとした答えが返ってくる人はそう多くありません。
トピックスのある経歴という意味では、もう一つ触れておきたい観点があります。それは「のこぎり型のキャリアグラフ」です。
新しいスキルや経験という「見えない給料」を手に入れるために、あえて年収を下げて次の場所に行く。それを何度か繰り返した結果、描かれるのがのこぎり型のキャリアグラフです。
職務経歴書を眺めれば想像はつきますが、その意図や狙いまでは、本人と会わなければ分かりません。だからこそ人事は「なぜ、この決断を?」と聞きたくなります。
ただし、重要なのはやはり数字で語れる成果。他人に語れるような成果がまだ出ていないのに、小手先の書類の書き方テクニックでどうにかなるものではありません。
身もふたもない言い方になりますが、「ステップアップ転職をしたいなら、成果を上げるまでは転職せず、今の会社で頑張る」。これに尽きます。「ひどい環境なんです」と愚痴りたくなったら、「いや、選んだのはお前やろ」と自分にツッコんでください。
職務経歴書のテクニックを磨く前に、まず数字で語れる成果を作る。そして普段から、自分の仕事を数値で表現できるように仕事をしておく――。人事に「お、会いたい」と思わせる書類は、結局のところ、そこからしか生まれないのです。







