しかし、そのメガソーラー建設で売上代金の回収が長期化していたことや追加工事が発生していたこと、また、完工後の一括払いとなる大手企業の大型案件の増加などによって未成工事は年商の約3倍にまで達していた。決算書上では数億円の経常利益を確保していたものの、キャッシュアウトの状態が続くこととなり、金融機関からの資金調達も限界に達したことで自力再建を断念することとなった。

売り上げ好調だけでは判断できない企業の危険信号

 地場上位クラスの施工能力を有していた「占部組」(福岡県春日市、負債約29億5200万円、4月破産)も売り上げ拡大の一方で低収益体質とガバナンス不足から信用失墜と資金調達の限界を迎えたケースだ。

 同社は1933年(昭和8年)に創業し、54年(昭和29年)に法人改組した老舗業者。もともと公共工事の実績を積み重ねてきたが公共工事予算が削減されるなかで民間工事へ軸足を移し、関西、中部、そして関東へと営業エリアを拡大し、商業施設の建築工事に参入していく姿は前出の「中央建設」のそれに重なる。コンビニ、スーパーホームセンター、物流倉庫など新分野に積極的に進出し、2020年に54億円だった年商は2025年に110億円を超え、過去最高を更新していた。

 しかし、大手チェーン向けの工事は受注が安定するメリットがある反面、工事単価は抑えられ、外注比率が高まるなかで人件費や資材価格は上昇、経験不足による原価管理の難しさや工程遅延も重なり低収益工事が増加した結果、最終利益は数千万円から1億円台にとどまっていた。

 さらに追い打ちをかけたのが、一部の現場において取引先との認識相違を背景とした支払いトラブルだった。昨年11月には請負代金請求訴訟が提起されたほか、それと前後して社有不動産や預金に対して仮差押えが講じられたことで信用不安が一気に表面化。その後、仮差押えはいずれも取り下げられたが、資金調達環境の悪化は改善せず、行き詰まることとなった。

 建設業に限った話ではないが、売り上げだけをみて“順風満帆”と安心してはいけない。中東情勢の悪化で企業を取り巻く環境が厳しさを増すなか、取引先を見る目が問われている。