高市早苗首相と麻生太郎副総裁Photo:SANKEI

問題は税率よりも「最強の権力者は誰か」

 高市早苗首相が2月の衆議院選挙で掲げた「飲食料品の消費税率を2年間限定で0%に引き下げる」という公約。

 6月中の中間とりまとめに向け、自民党本部がある東京・永田町、そして財務省など中央省庁がひしめく霞が関でも、高市首相がどう最終判断するか、さまざまな声が漏れ聞こえ始めた。

「0%だとレジの改修に1年近くかかり、1%だと5~6カ月で済むという話でしょ。でもね、税率の問題だけじゃないんだよ」(自民党・旧安倍派衆議院議員)

「税率を0%にすると標準世帯で年間7万円弱の負担軽減で、1%だと6万円弱。あまり変わらないですよね。必要な財源だって、0%だと5兆円必要で1%だと4兆4000億円。どのみち4~5兆円は捻出しなきゃいけないし」(経済産業省職員)

 ドイツや英国がコロナ禍で減税した際、あるいは、昨年、インドが物品税を下げた際は、政府の決定から1カ月で実行しているが、上記の自民党議員と中央省庁の職員、ともに気にしているのは、実施までの遅さでもなければ、税率や負担軽減額でもない。誰が真の決定権者(=最高権力者)かという点である。

 平たく言えば、高市首相が押し切るか、それとも、これまで「インフレ下で消費税率を下げて消費が増えた例はない」(2025年9月3日の派閥総会)などと消費税率の引き下げに反対してきた麻生太郎自民党副総裁が覆すかに注目しているのだ。

永田町の「帝王」となった麻生副総裁

 麻生氏の落としどころは「飲食料品の消費税率は1%にとどめ、0%にしないことで浮いた6000億円を給付に回して、来年の統一地方選挙を戦うといったあたり」(前述の自民党議員)だ。

 2年間限定とはいえ、減税は1度実施してしまうと上げるタイミングが難しい。ただ、1度で済む給付なら財務省も「NO」とは言わない。麻生氏は、財務省独特の論理を把握している。有権者に対しても、「0%にはできなかったが給付を実施した」と釈明もできる。