そんな高市首相は、黙って麻生氏に従っていれば、来年9月の自民党総裁選挙での勝利、うまくすれば無投票での再選は確約される。
しかし、積極財政や安全保障政策などで「独自カラーを貫きたい」と思うなら、麻生氏との対決は避けて通れない。
現状、劣勢にある高市首相の起死回生策は、当面、以下の二つしかない。
○麻生氏と財務省による支配を許さず、「公約に掲げて圧勝したのだから」と飲食料品の消費税0%を押し通す。積極財政もやり続ける。
○日本維新の会との連立合意を守って、吉村洋文大阪府知事との二人三脚体制を維持し、麻生氏と国民民主党を牽制する
外にも存在する「帝王」
高市首相にとって悩ましいのは、日本の外にも高齢の「帝王」が存在することだ。
1人は、6月14日に80歳を迎えるアメリカのトランプ大統領。そして、もう1人は、翌日の6月15日、72歳になる中国の習近平国家主席である。
トランプ氏の場合は、イラン情勢、つまりは石油やナフサ問題のカギを握る人物であると同時に、台湾に関する姿勢が見えない点が最大の懸念材料だ。
仮に台湾有事が起きた場合、台湾を守ろうとするのか、それとも、5月16日、「(アメリカ本土から)9500マイルも移動して戦争をすることは望んでいない」と述べたように、見て見ぬふりをするのかで、日本の安全保障政策は全く違ったものになる。
習近平氏の場合は、トランプ氏との米中首脳会談で日本を名指しで批判したうえ、中ロ首脳会談でも、プーチン大統領と発表した共同声明で、「日本が再軍備化している。地域の平和と安定に深刻な脅威をもたらしている。挑発的行為に断固反対する」と明記させた。
このことは、日中関係の改善が容易ではないことをうかがわせるものだ。いや、改善どころか、習近平氏の「アンチ高市」の姿勢は、悪い方向へとフェーズが上がったと筆者は分析している。
麻生氏をはじめ3人の「帝王」はひと筋縄ではいかない。「内憂外患」とは言い古された言葉だが、高市首相は今、内政外交ともに正念場の夏を迎えている。
(政治・教育ジャーナリスト/びわこ成蹊スポーツ大学教授 清水克彦)







