不思議なことに、飲食料品の消費税と給付つき税額控除について検討を進めている超党派による「国民会議」は、いつの間にか「社会保障国民会議」と名前が変わり、議事録を見ると、議論のテーマが消費税から「給付つき税額控除」にすり替えられている感がある。

 焦点の消費税率も、麻生氏が描いたとおり、「物価高対策なのだから、早く実現できる1%で」という筋書きで話が進んでいるように見える。

 麻生氏と言えば、5月21日に発足した高市首相を支えるための議員連盟「国力研究会」を事実上主導し、347人もの自民党国会議員を集めて、党の大ボス的存在に上り詰めたばかりだ。

 その麻生氏の「飲食料品の消費税率は1%で十分」という考え方には、義弟で財務相経験者の鈴木俊一幹事長や財務官僚出身の小林鷹之政調会長も同調し、筆者の目には、高市首相を支えるどころか、「好きにはさせない連盟」が出来上がったかのように映る。その背後にいるのは、もちろん財務省であろう。

 高市首相支持を錦の御旗に多くの自民党議員を取り込み、「省庁の中の省庁」と呼ばれる財務省をバックにする麻生氏は、御年85歳にして、今や永田町の「帝王」だ。

 麻生氏を中心に高市首相を支える巨大議連が発足したことを、「高市首相と麻生氏の和解」ととらえる向きもあるが、実態はそんな生易しいものではない。

 今回の「飲食料品の消費税率0%か1%か問題」は、事実上の最高権力者がどちらなのかをはっきりさせる権力闘争にほかならない。

麻生が目指す国民民主党の連立入り

 ただ、筆者は、麻生氏をネットなどで散見される「老害」とか「引退してほしい政治家」とはとらえていない。

 筆者は、麻生氏が財務相時代、国会内で若手の財務官僚が書いた報告書を本人の目の前で絶賛するシーンを目撃したことがある。

 麻生氏は、頼りにしてくる若手に、「いい内容だから上司に伝えておく」とはっきり言う政治家だ。麻生氏には人情味と永田町の近未来を演出する才があるとも言える。