写真はイメージです Photo:PIXTA
多忙な現役世代の中には、読書は「仕事に役立つ情報収集のツール」と考えている人も少なくないだろう。しかし、そんな「必須栄養」摂取のための読書を重ねてきた人こそ、定年後には、じっくりと「味わう読書」をしてみてはいかがだろうか。齋藤孝氏が、人生を豊かにし、何倍も面白くしてくれる読書のコツを解説する。※本稿は、教育学者の齋藤 孝『定年後、上機嫌を愉しむ』(ポプラ社)の一部を抜粋・編集したものです。
60代に入ると
「味わう読書」ができる
60代ともなると、多くの読書経験が積み上がってきています。皆さんは何十冊何百冊の本の遍歴とともに生きてきたのです。
ある意味、人は本でできています。
ご自分の本棚があれば、その前に立って本の群れを眺めてみてください。
本棚の本1冊1冊があなた自身なのです。あるいは、あなた自身が、その多量の本で編集されてできた、あなたというタイトルのたった1冊の本なのかもしれません。
数えきれないほどたくさんの本を読んできて、その内容をたくさん忘れてきたと思いますが、それでいいのです。本当の読書経験とは、頭の中ではなく暗黙知として、無意識の領域、身体の深部に収蔵されているからです。
今まで人生の中で危機的な状況に遭遇したとき、突然どこからともなくいい知恵が降りて来て、突き動かされるように行動し、窮地を脱した経験が誰にでもあるかと思います。
その知恵の出どころが読書なのかもしれません。記憶には残っていないが、突然天から降ってくる知恵。それが本当の読書経験で得られる「ご利益」なのです。







