現役の頃は、仕事の関係上、情報や知識の収集のための読書が多かったと思われます。
社会を生き抜いていくうえで必要な「必須栄養」摂取のための読書です。これは戦いの最中の読書ですから、急いで噛み砕き、咽喉に無理やり流し込まねばなりません。
しかし、60代に入ると、時間的に余裕もできて読書の時間もゆったり取れるようになります。本を読むのもゆっくりと味わうことができます。
会社や社会のための情報や知識ではなく、自分自身の知恵のための読書ができるようになります。
「飲み込む読書」ではなく「味わう読書」ができるのです。
「味読」という言葉もあります。60代は「味読世代」とも言えます。
3色ボールペンで
線を引きながら読む
読書の時間とは自分との対話の「1人の時間」であるとともに、著者との語らいの「2人の時間」でもあります。
人間の総合的な成長は、優れた人間(著者)との対話(読書)を通じて育まれます。優れた人間と対峙するには緊張感もありますが、それにあまりある充実感もあります。いい本は緊張感とともに充実感も私たちに与えてくれます。
そのどちらの感覚も十分に味わい、楽しむための方法は「線を引きながら読む」ことです。尊敬する著者の本を引き締まった気持ちで読んでいるとき、「さすが、素晴らしいことを言っている!」と畏敬の念を持つと何か痕跡を残したくなります。それが線を引くことです。
私はかねてから3色ボールペンで線を引くことをお勧めしています。
赤は客観的に見てすごく大事な文章、青は客観的に見てまあまあ大事な文章、緑は主観的に面白いと思う文章という具合です。
3色ボールペンで線を引くことは「自分だけの世界の地図を作ること」と似ています。
読書後それを見返すとき、昔行った懐かしい旅行の思い出をたどるような充実感がわき起こってくるのです。
本を読むことは「添いつつ、つながる」という行為の1つです。
多種多様な本を読むということは、多種多様な「他者」を自分の中に取り込み、受け容れ、知るということです。







