「“言語化”疲れで、“言語化”という言葉にモヤモヤする」
「即答するよりじっくり考えるほうが大事なのでは?」
「別に“口下手”のままでもいいじゃないか!」…
など、まったく新しいコミュ力を説いた書籍『言語化だけじゃ伝わんない –––– 絵を描くように「考える・伝える」技術』が発売された。著者でイラストレーターのヤギワタル氏は、これまで200冊以上の書籍でイラストや装画を担当してきて、今回が初の単著となる。本書では、昨今の「言語化ブーム」に対して警鐘を鳴らし、「言語化“以外”に目を向けること」をイラストレーターならではの視点で面白く解説している。本記事では、その中からビジネスパーソンにも役立つノウハウとして紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

話がヘタな人は「主語が大きい」
「最近の若者は……」
「日本人ってさ……」
「会社が悪いんだよ」
話を聞いていて、「なんか雑だな」と感じる人がいます。
その特徴のひとつが、「主語が大きすぎること」です。
『言語化だけじゃ伝わんない』という本では、その原因について、「人は“ひとまとめ”にした言葉を使いたがるからだ」と語られています。
そして、本当に話がうまい人は、大きすぎる言葉を細かく切り分けています。
人は、「ひとまとめの言葉」で考えすぎる
本書では、まず人体の話が紹介されています。
そうすれば、別の言葉で言い換えられるようになります。
ビジュアルの例として、ここでは『人体』を扱います。
筋肉や骨、臓器など、人の体をあらわす言葉はたくさんあります。
名前がついているということは、それぞれが別物だということです。
でも、どうして別物だとわかったのでしょうか?
それは、人体を細かく切り分ける解剖を行なったからです。
私たちの口からお尻の穴までは、ひとつづきの管になっています。
食べたものがいずれ排泄されるのも、それがひとつづきになっているからです。
解剖ではその管を部分に分けます。
そして、『口、食道、胃、小腸、大腸、肛門』と言葉を当てはめているのです。
先ほど私は、『口から肛門まではひとつづきの管だ』と言いました。
でも実際を見てみれば、食道と胃は明らかに形がちがいます。
だからそこでいったん区切って、別物としてそれぞれにラベルを貼っているのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
これは、コミュニケーションでも同じです。
人は、「会社」「若者」「政治」「人間関係」など、大きな言葉で話したがる。
ですが、その中には本来、まったく違うものが混ざっている。
つまり、話が雑な人ほど、「切り分け」ができていないのです。
話がうまい人は「必要な部分」を取り出している
本書では、さらにこう続きます。
人体図はこのすれちがいを解消するヒントを教えてくれています。
相手がいま必要としている部分を取り出すためには、まず全体を部分に切り分ける必要があるということです。
「ひとつづきの管」だったものを切り分け、「胃」という部分を指す言葉を取り出す。
「『管』が炎症を起こしている」だとすれちがいます。
でも、「『胃』が炎症を起こしている」と言い換えれば、すれちがいは減るのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
話がヘタな人は、「全体」をそのまま話す。
だから、「会社が悪い」「最近の若者はダメ」「SNSは危険」みたいな雑な言い方になる。
ですが、話がうまい人は違う。
「会社の何が?」「どの部署が?」「どんな行動が?」「どの場面で?」
そうやって、「大きなかたまり」を切り分けているのです。
本当に頭のいい人は、「言葉を細かくする」
本書では、最後にこう語られています。
そうすると、最初に持っていた言葉(=ひとつづきの管)、とは別の言葉(=胃や食道)を獲得できるということです。
私たちはすでに人の体にまつわる言葉を自由に使いこなしています。
筋トレをする人は、『上腕二頭筋を鍛える』と言います。
ダイエットをする人は、『内臓脂肪を燃やす』と言います。
でも、誰かがそこに言葉を当てはめる以前、それらすべては『同じひとつの肉の塊』だったのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
これは、コミュニケーションの本質です。
頭の悪い人ほど、「全部まとめて話す」。
頭のいい人ほど、「細かく切り分ける」。
だから、話が具体的になる。誤解が減る。すれ違いが少なくなる。
つまり、本当に大事なのは、「難しい言葉を使うこと」ではありません。
「大きすぎる主語」を、そのまま使わないことなのです。
「雑な言葉」は、雑な理解を生む
『言語化だけじゃ伝わんない』は、「言葉を細かくすること」の大切さを教えてくれます。
「会社」「若者」「恋愛」「政治」。そういう大きな言葉は便利です。
ですが便利すぎるからこそ、人は「雑な理解」をしてしまう。
だから、本当に話がうまい人は、「何を指しているのか」を細かく切り分けていく。
つまり、コミュニケーションとは、「大きな言葉で語ること」ではない。
「相手がズレないサイズまで、言葉を具体化すること」なのです。
1981年静岡県生まれ。制作会社にて、雑誌タイアップ広告の制作進行を務めたのち、フリーランスのライターを経験。国際情勢関連の英日翻訳をやりながら、2011年からイラストレーターの活動をスタート。現在は書籍・雑誌・広告など幅広く活動中。特に、ビジネス書や新書での挿絵や図解を担当することが多く、10年以上、活躍している。
これまで、装画・イラストを担当した書籍は200冊以上。『言語化だけじゃ伝わんない –––– 絵を描くように「考える・伝える」技術』(ダイヤモンド社)が初の単著となる。








