断食して体重が落ちた。でも少し食べたら一気に戻った――その落差に落ち込んでいないか。じつはその増減には、体脂肪とはまったく別のメカニズムが働いている。知っておくと、ダイエットへの向き合い方が変わる。
東京農業大学で栄養について長年研究し、医師としても活動する田中越郎氏の著書『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』からヒントを探る。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)
「2日で1.5kg減った」の正体
絶食や極端な食事制限で、数日間で体重がすっと落ちることがある。
やっと結果が出てきた!と喜びたくなる気持ちはよくわかる。
しかし著者は、この体重減少の多くは「脂肪が減ったわけではない」と指摘する。
普通の生活をしながら1日半ほど絶食を続けると、
体内の貯蔵糖質であるグリコーゲンがほぼ枯渇する。
グリコーゲンの総量は約400gだが、それが3倍量の水(約1.2kg)と結合して存在しているため、枯渇するだけで約1.5kgの体重減少につながる。
つまり、落ちたのは脂肪ではなく「グリコーゲンと水分」だ。
「お米を少し食べただけなのに、なぜ体重が増えた?」の答え
減量の最もてっとり早い方法は絶食です。普通の生活をしながら絶食を1日半続けると体内の貯蔵糖質、すなわちグリコーゲンはほぼ枯渇してしまいます。体内のグリコーゲン総量は約400gで、これが3倍量の水(1.2kg)と結合して存在しています。したがってグリコーゲンが枯渇するとそれだけで約1.5kgの体重減少に結びつきます。
「たった2日の努力で1.5kgもやせた」とその一瞬だけは喜べます。しかしながらそこで糖質を400g摂取すると、すぐにグリコーゲンが合成され、一挙に体重が約1.5kg増えるわけです。
「お米は少ししか食べていないのに、体重はお米の量以上に増えた!」とガッカリするのは、このような場合もあるからです。
短期の体重の変動には一喜一憂しないでください。
ダイエット食の基本は、「低カロリーを維持しつつ、たんぱく質やビタミン・ミネラル類は減らさない」です。
グリコーゲンが枯渇した状態で糖質を400g摂取すると、
すぐにグリコーゲンが再合成され、水分も一緒に戻り、体重が約1.5kgほど増える。
食べた量はわずかなのに、体重計の数字が大きく跳ね上がる。
「裏切られた」と感じるあの感覚の正体は、これだ。
体脂肪が増えたわけではない。
短期間の体重変動の多くは、グリコーゲンと水分の増減によるものだ。
だからこそ著者は「短期の体重変動に一喜一憂しないでほしい」と言う。
本当のダイエットは、栄養を削らないことから始まる
著者が示すダイエット食の基本は、シンプルだ。
「低カロリーを維持しつつ、たんぱく質やビタミン・ミネラル類は減らさない」
カロリーだけを極端に絞り込む食事制限は、筋肉量の低下や栄養不足を招く可能性がある。
体重を減らすことと、健康を維持することは、同時に考える必要がある。
ダイエット中の食事内容については、体質や持病によって適切な方法が異なる。
特に持病がある場合や、大幅な食事制限を検討している場合は、医師や栄養士に相談のうえで進めてほしい。
体重計の数字が気になるなら、毎日の増減に一喜一憂するのをやめ、1~2週間の平均で見る習慣をつけることだけでいい。
(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』をもとに作成しました。本記事は、医師による診断や治療の代わりとなるものではありません。健康状態に不安がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。)
●東京農大名誉教授・栄養学の専門家である医者が教える「栄養学的に正しい」食事の大原則
●「健康」はもちろん、ダイエットから仕事まで「いつもの食事」が人生を変える!
世間には数多くの健康法があふれています。
そして健康意識の高い人ほど、新しい情報を入手し、自分の生活に取り入れています。
しかし、その結果「本当の健康」を得られている人はどれほどいるでしょうか。
ひとつの論文やエビデンスだけを信じた食事では、栄養が偏ってしまいます。
また「健康意識」の高まりを狙った企業のマーケティングの影響で「必要のない食品」や「効果の薄いサプリ」を購入してしまう可能性もあるのです。
そんななか、食事対する必須知識として「栄養学」への関心が高まっています。
本書では、東京農業大学で栄養学と生理学の研究を続け、医師でもある著者が「栄養学的に正しい」最高の食事術を紹介します。
誤解しがちな栄養に関する知識を正し、実生活のなかですぐに取り入れることができる具体的な食べ方や食材、食品がふんだんに掲載されています。
基本となる知識と具体的な食事術を学ぶことで「健康法」迷子から抜け出し、食事によって人生が変わる1冊です。
主要目次
第1章 まず知るべき「栄養と食品」の基本
栄養バランスは毎日考えなくていい─「1週間」でつじつまが合えばOK
「完全栄養食」を信じるな─「これだけを食べれば大丈夫」などありえない
トクホと「健康食品」はまったくの別物─機能性食品の違いをおさえる
第2章 「病気と栄養」の危ない関係
ジュースが危ない本当の理由─果糖とブドウ糖はヤバすぎる
「体にいい油」も要注意─変性すれば、すべて悪玉
「コーラで歯が溶ける」は本当─リン酸の強さとその代償
第3章 栄養学的に「ヤバい」食習慣
ファストフードで地雷を踏むな─シェイクのヤバさを知る
黒烏龍茶でチャラにはならない─「焼け石に水」で食べ過ぎを招く
プロテインが逆効果になる?─肝臓・腎臓が酷使される理由
第4章 頭が悪くなる「脳をダメにする」食事
ビタミン不足は静かに脳を鈍らせる─頭が悪くなる仕組み
「カルシウム不足でイライラする」のは本当か?─科学的根拠はない
「コーヒーを飲まないと頭が回らない」は危険信号─カフェイン依存のリスク
第5章 「体によさそう」に惑わされないための知識
野菜ジュースで「野菜」は摂れない─ビタミンCも食物繊維も抜けている
「グルテンフリー神話」に惑わされるな─アレルギーがなければ無視していい
サプリメントは買わなくていい─価格も品質も信用できない
第6章 「食べないほうがいい」食品の誤解を解く
コレステロールは敵ではない─体の必須成分と動脈硬化の関係
「白米を食べると太りやすい」のはなぜか─長所と短所を理解する
「うま味調味料=危険」は思い込み─グルタミン酸ナトリウムの正体
第7章 誰でもすぐに実践できる「栄養学的な食習慣」
チェーン店で健康的に食べる方法─最強はリンガーハットの「ちゃんぽん」
パフォーマンスを上げるには「お酢」を飲む─最速でシャキッとする
「腸活」ブームが見落としているもの─腸内細菌は大腸にいる
第8章 「体調と体質を改善する」食事術
風邪をひいたらホットジュースを飲む─「ダイダイ湯」「生姜湯」がいい
食べるべき食品ベスト1は「納豆」─ビタミンKが爆増する発酵の力
「なんとなく不調」なときは食べものを疑う─5つの食事リセット術
第9章 「ストレスから体と心を守る」食事術
老化と病気は抗酸化物質で防ぐ─「ポリフェノールたっぷり」に騙されない
「おいしく・安く・栄養豊富」な旬の食材を選ぶ─無駄にお金をかけなくていい
強いストレスには「動物性たんぱく質」と「ハーブティー」─メンタルを整える食事
第10章 「やせながら元気になる」栄養学的ダイエット術
「2日で1.5kg」は誰でもやせられる─大切なのは継続できるかどうか
リバウンドを防ぐための小さな工夫─体だけではなく「心の健康」を維持する
「体脂肪率」に振り回されるな─大切なのは「経過」を追うこと
第11章 「健康なまま長生き」するための食事術
「空腹は最強のクスリ」は本当か?─実践してわかった長所と短所
40歳から筋肉は勝手に減り続ける─寝たきり回避には「たんぱく質」が必須
発がん性物質を避けるには「焼く」よりも「煮る」─肉はマリネがおすすめ