今日の若年層は、SNSやアルゴリズムが最適化したタイムラインから情報が受動的に(フロー型で)流れてくる環境で育ちました。そのため、わざわざ広告を見てから別のサイトへ移動したり、時間をかけて情報を深掘りしたりする「能動的な検索」の必要性が薄いといえます。

 一方で、令和シニアは、情報が自分からは流れてこない環境で育った世代です。彼らにとって、広告は「情報を取りに行くためのトリガー(きっかけ)」であり、一度関心を持ったら、その裏付けや信頼性を確認するために、関連サイトを主体的に検索する行動(ストック型)を取ります。

 つまり、令和シニアの行動は、情報化社会の奔流の中で培われた「自分基準で選び抜く審美眼」が、「情報を取りに行く」という能動的な行動に直結している証拠なのです。彼らは、広告という表面的なメッセージだけを鵜呑みにせず、自らが納得できる、あるいは信頼できる情報を、労力を惜しまずに主体的に探しにいく高い見極め力を持っているといえるでしょう。

 この「納得できる情報を探求する」という姿勢は、情報獲得への労力を惜しまない意識にも裏打ちされています。60代の「必要な情報のためには手間をかける」というスコアは、2014年の60.0%から2024年には66.9%へと伸長しています。これは、彼らが情報探索に対して高いモチベーションを持ち、その結果を自己投資や生活の充実につなげようとする、極めて戦略的な姿勢の表れと考えることができます。

メディアを鵜呑みにしない
60代の“選ぶ力”

 さらに、彼らの情報戦略を支えているのが、激動の時代を乗りこなして身につけた「器用さ」です。

 彼らは若年期に新しいテクノロジーの波(デジタル革命)に直面し、それを自らの競争力に転化させてきた経験があります。この柔軟な適応力は、情報収集の手段にも表れており、「スマホ・携帯でネットをする」というスコアは、2014年のわずか7.7%から、2024年には40.6%へと飛躍的に伸長しました。若年層でこのスコアが横ばいであることを踏まえると、令和シニアが時代の流れに乗り、デジタルを使った情報探索力を急速に獲得したことがわかります。