「しゃれたメガネの賢そうな男が…」小林虎之介がコメントで明かす、〈銀座勤務を気取った男〉のホンネが切ない…〈風、薫る第60回〉『風、薫る』第60回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第60回(2026年6月19日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)

復活の虎太郎

 りん(見上愛)と直美(上坂樹里)が本格的に看護婦として働きはじめる、その前にプライベートが大渋滞。いろいろあったが安(早坂美海)の結婚が決まり、白無垢の花嫁衣装が飾ってある。

「きれいだねえ」と環(英茉)とりんが見ていると、訪ねてきた人がいる。

 洋装で帽子までかぶって紳士然とした若者――虎太郎(小林虎之介)だった!

 りんの幼なじみの虎太郎。

 りんを助け続けてこのまま栃木に残り、静かに退場かと思っていたら、まさかの復活だ。

 もはや東京にはシマケン(佐野晶哉)がりんの相手役として君臨している。シマケンはりんに夢中で、彼女は気づいていないようではあるが。ここへきて虎太郎の登場とは驚き。いや、その意外性がドラマをおもしろくする。

 これから本格的に医療ドラマになるかと思ったが、恋愛模様も複雑になり、その両輪で盛り上がってくるのだろうか。

 虎太郎はりんが再婚すると勘違いしていた。

 栃木から来たのではない。銀座の製薬会社で今月から社員になる。

 銀座の製薬会社の社員とは、そりゃあ「こざっぱり」もするわ。

 直美が気を利かせて、りんと虎太郎をふたりきりにするため環を連れて外へ出る。

 つもる話をするりんと虎太郎。

 どうして東京へ? とりん。

「それは(間)、あそこにいても百年前と変わらない。東京で成功すれば、家族の暮らしを変えることができると思ったから。東京は努力したらした分だけ、自分の力で上に上がれる。勝負するなら東京に出ないと」

「虎太郎、変わったね」

 村で農業をやって地道に暮らしていくタイプかと思っていた虎太郎が、いつの間にか野心をもちはじめていた。

 まぶしいほどギラついている。でもたぶん、「それは」のあとの間には何か思いがありそうだ。

 ここで、そんな虎太郎を演じる小林虎之介さんが発表したコメントを紹介しよう。

――虎太郎はどのような人物だと思いますか?

 虎太郎は根っからの純粋さと優しさがある人です。

 足軽の家に生まれ百姓になり、幼いころから近くにいたりんを、笑顔がすてきだとかそんなささいなことで好きになっていったのだと思います。

 物語が進むにつれてりんとの身分の差を知り、距離感にものすごく悩みながら生きているのだろうと感じました。

 りんが結婚を決めたときは相手がいい人であってくれればと、幸せを願っていたと思います。

 結婚がうまくいかずに環を連れて実家に戻ってきたとき虎太郎は平気な顔をしていましたけれど、自分がこの人と結婚して家庭を築いて3人でいたかった…と演じていて悲しい気持ちになったことを覚えています。

 時代が目まぐるしく変わるなか、虎太郎自身も大人になる過程でいろんな迷いで苦しんでいたと想像します。

――第12週(60 回)では虎太郎が東京にやってきましたね。

 ずっと栃木で働いていましたが、生活が苦しくなり家族を守るためにお金を稼がなきゃいけない。暮らしを変えるため、そして自分のこれからの生き方も考えて東京に出てきて働いていた。

 製薬会社の給仕から社員となったタイミングでりんに会いにきました。

 りんのことは一途(いちず)に思い続けているので、東京で困っていたら支えてあげたいという気持ちはもちろんあります。

 ただ、それだけではなく、虎太郎自身もやりたいことや家族へのいろんな想いを抱えて東京にきて、必死に変わろうと頑張っている最中だと思います。

――恋のライバル的なシマケンと会ってしまいましたが……

 虎太郎は鈍感だと思うのでりんがシマケンに好意があるかは分からないですが、東京でしゃれたメガネをかけた文字の書ける賢そうな男がりんの近くにいるというだけで、少しの嫉妬と引け目も感じてしまった。

 自分が劣っているように見えるのが嫌で「銀座の製薬会社で…」と気取って言ってはみたものの、分かりやすくライバル視をしてしまいましたね。

 これからの虎太郎がどんな運命をたどることになるのか。

 どうなるにしても視聴者の皆さんには「虎太郎がんばって!」とこの先も応援してもらえるように演じていきたいです。