世界の石油生産に占めるOPECプラスのシェアは、発足当初には5割を上回っていたものの、足元では、海峡封鎖による輸送制約を受けた中東産油国の減産を映じて4割前後まで低下している世界の石油生産に占めるOPECプラスのシェアは、発足当初には5割を上回っていたものの、足元では、海峡封鎖による輸送制約を受けた中東産油国の減産を反映して4割前後まで低下している Photo:Bloomberg/gettyimages

戦闘再開で遠のく中東原油生産の正常化
日量1000万バレル程度の追加減産リスク

 中東情勢は米国とイランの停戦和平協議の不調で、7月に入って以降、双方が再び攻撃と報復を繰り返す展開で、ホルムズ海峡の封鎖解除の見通しは立たない状況だ。

 6月17日、米国とイランが戦闘終結に向けた覚書に署名した後は、原油市場は緩やかに正常化していくことが期待されたが、供給不安が再び強まる中でWTI(米国原油先物価格)も、7月23日には、1バレル=90ドル台まで上昇した。

 今回の軍事衝突は、米国、イスラエルとイランだけでなく、周辺湾岸国の原油関連施設も攻撃されて巻き込む形になり、さらにホルムズ海峡の封鎖がさらに長期化するとなれば、原油市場におけるOPECプラスの影響力を不可逆的に低下させるとみられる。

 またアラブ首長国連邦(UAE)がOPECプラスを離脱、増産に踏み出したことも影響力低下につながる。

 世界の石油生産に占めるOPECプラスのシェアは、発足当初には5割を上回っていたものの、足元では、海峡封鎖による輸送制約を受けた中東産油国の減産を反映して4割前後まで低下している。

 筆者は、中東情勢の今後の展開で三つのシナリオを描くが、米国とイランが本格的に戦闘を再開するシナリオでは、日量▲1000万バレル程度の追加減産が生じるリスクがあり、この場合、OPECプラスの市場シェアは30%台前半まで低下すると試算される。

 一方で、南北アメリカなどの西半球が生産力を高め、いまや生産シェアはOPECプラスを上回る状況だ。原油調達先の多角化が大きな課題となっている日本にとっては、中東発の供給ショックに対する耐性を高めるためには重要度が一段と増す。