採用面接でも、初対面のビジネスの場でも、「この人は優秀かどうか」を見極めたい場面は多い。だが、学歴や職歴を眺めても、その人の本当の実力はなかなか見えてこない。AIの台頭で誰でも簡単に論理的な文章を生成できるようになった今、本当に優秀な人を見極めるのはさらに難しくなっている。『自分の言葉で話せるようになりましょう。』はAIにより賢さの価値が暴落し、逆に価値が高騰しているものについて書かれた本だ。この本の著者で、アパレル会社を業界で史上最短で上場させた片石氏は面接で必ず聞くことがあると言う。(構成/ダイヤモンド社編集局・淡路勇介)

自分の言葉で話せるようになりましょう。Photo: Adobe Stock

相手が優秀な人かどうか見抜くためにする質問

――採用面接で、相手が優秀かどうかを見抜くために、よく使っている質問はありますか。

片石貴展氏(以下、片石氏)「運がいいか」はすごく大事にしていますね。実際、面接でも聞きますね。運がいいかどうか。

――なんで、運がいいかを大事にしているんですか? 運は良い方がいいと思いますが、優秀さとは直接関係ないような気もします……

片石氏:「あなたは運がいいですか?」と質問して「私は運がいいです」と答えられる人ってすごく優秀な人だと思います。

――優秀な人っていうより、謙虚な人っていうイメージですが……?

片石氏:そうですね、謙虚さにもつながります。まず、「運がいいです」とすぐ答える人って、ほんとうに自分は運がいいと思っていないといけない。ほんとうに自分は運がいいと思っている人って、感謝力がある人だと思ってるんです。

――感謝力ですか?

片石氏:はい、運の良さ=感謝力だと言ってもいいです。「自分の存在(実力)」と「結果」にギャップがあるときに、人は「運がいい」と思うんです。つまり、「自分はたいそれた存在じゃないのに、これだけの結果が来てくれた」という自己認知ができているということなんです。

――たしかに、逆に自分は「たいそれた存在だ」と思っていたら、結果に対して「当たり前」と思ってしまいますもんね。

片石氏:そうですね。世の中に対して感謝できる人は、自分を正しく捉えられている。自分を正しく捉えるってすごく大事なんですよね。優秀な人ってみんな、自分を正しく捉えられている。うまくいかないことがあっても、他人のせいにしないし、うまくいっても傲慢にならずに、周りに感謝できる。そういう人は、一発屋的な人ではなく、長く働きたい人ですね。一緒に働いていて、楽しい。知識があることとか資格があることよりも大事です。「運がいい」と答えられる人って、すこやかに働ける人であるということの証明になってるんです。

――このAI時代により大事かもしれないですね。一緒に働いてて楽しい、って。

片石氏:まさしく! 賢さではもうAIには勝てないですから。極端な話、運がいい人って、いるだけで意味があるじゃないですか。

――新刊『自分の言葉で話せるようになりましょう。』もコミュニケーションをテーマにしながら、最後に運の章があったのもそういう理由なんですね。

片石氏:そういうことです! 言葉にすることでどうやって運を切り開いていくかを最後に書きました。言葉と運の関係って今まであまり語られてこなかったので。

(本稿は、片石氏の著書『自分の言葉で話せるようになりましょう。』〈ダイヤモンド社〉のインタビュー取材をもとに構成したものです。)