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ChatGPTの登場を機に、米ミシシッピ州では低所得者らを対象にした無料の「生成AIクラス」が始まった。卒業生は、高校中退者や元カフェ店員、前科のある人など多様な背景を持つ。過去の卒業生の中には、AIの訓練用データ作成などの仕事に就き、収入を大きく伸ばした人もいる。一方で、その仕事はAIの進化によって将来的に代替される可能性も指摘される。生成AIは地方の貧困や格差を乗り越える希望となるのか、それとも新たな格差を生み出すのか。※本稿は、朝日新聞編集委員の五十嵐大介『ルポ・シリコンバレー AIブームと米国社会の断層を歩く』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
アメリカで立ち上がった
生成AIを学ぶ学校
2024年6月の夕方、町の集会所には、50人ほどの人が集まっていた。
この日、プログラミング教育を手がける非営利団体「ミシシッピ・コーディング・アカデミーズ(MCA)」の卒業式が開かれていた。同校が24年1月に始めた、「生成AIクラス」の1期生たちだ。
卒業生14人の全員が黒人で、9人が女性。高校中退者、元カフェ店員、前科のある人、発達障害のある生徒――。1人ずつ壇上に上がり、晴れ晴れとした表情で卒業証書を受け取っていた。
「この日を迎えられてうれしい。でも、これからが始まりね」
1期生の最年長、アンジェラ・ストロングさん(64)は笑った。孫娘のスピリットさん(20)と一緒にAIクラスに参加した。ストロングさんは、高校生だった16歳の時に地元の飲食店で働き始めた。その店で夫と出会い、地元の医療サービス、屋根や水道の修理など多くの仕事をこなしてきた。卒業式のこの日は、15年前に亡くなった夫の命日だった。
プログラミングを勉強したことはなく、授業を受ける前は「AIが人間を支配する」と恐れていた。だが、AIの基礎的なしくみを学ぶうち、「AIは私がいないと何もできないことがわかった」という。







