将来的に5人に1人がなると言われている「認知症」。運や遺伝によってなると考える人も多いが、じつは意外な習慣によって、そのリスクを高めてしまうことがわかった。その影響は20代から始まっているとも言う。
その背景にあるのが、「糖」による影響だ。そう指摘するのが、オックスフォード大学の研究員として世界的難病の治療法の発見に貢献し、現在は医師としても活躍する脳と糖の専門家である下村健寿氏。著書『糖毒脳――いつまでも「冴えた頭」でいるために知っておきたいこと』で、「糖に毒された脳」を「糖毒脳」と名づけ、糖が認知機能を崩壊させるメカニズム、そして脳を守るための習慣を紹介している。同書から、一部を抜粋・編集して紹介しよう。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・石井一穂)

「コロナでアルツハイマー病の進行が早まる」イギリスの医学調査研究が伝えた「認知症の意外な要因」Photo: Adobe Stock

イギリスの研究が伝えた「驚くべき結果」

 イギリスで50万人もの人が参加した「UKバイオバンク」という医学調査研究がある。

 近年、このデータの中から驚くべき結果が報告された。

 元オックスフォード大の医学研究者であり、医師としても活躍する「糖と脳」の専門家である下村健寿氏が書いた『糖毒脳――いつまでも「冴えた頭」でいるために知っておきたいこと』で、こう紹介されている。

 コロナ感染を経験した人は、アルツハイマー病が2~4年早く進行するリスクがあることがわかったのです。
――『糖毒脳――いつまでも「冴えた頭」でいるために知っておきたいこと』より

 それだけでなく、インフルエンザや肺炎などの感染症でもアルツハイマー病の発症リスクが上がることが明らかとなったそうだ。

どんな炎症も「アルツハイマー病」のリスクを高める

 下村氏によると、この原因として考えられるのは炎症だという。

 感染症は感染部位に炎症を起こします。

 注目すべきは、脳炎など脳の中に炎症を起こす感染症だけでなく、脳と関係ない肺などの末梢の臓器に炎症を起こす感染症である場合もアルツハイマー病の発症リスクが上がっていることです。
――『糖毒脳――いつまでも「冴えた頭」でいるために知っておきたいこと』より

 脳に限らず、どこの臓器で感染症が起きてもアルツハイマー病を発症しやすくなるということだ。

「血糖値が高い人」はウイルスに感染しやすい

 このことから、注意すべきは血糖値だとも、下村氏は指摘する。

 なぜなら血糖値が高い人は値が正常の人に比べて、細菌やウイルスに感染しやすいからです。

 また、血糖値が高い人は一度感染すると、値が正常な人と比べて感染症が治るまでに時間がかかり、炎症が長引いてしまいます。
――『糖毒脳――いつまでも「冴えた頭」でいるために知っておきたいこと』より

 血糖値を制御して感染予防に努めることも、アルツハイマー病の予防に大事であることが理解してもらえるだろう。

(本稿は、『糖毒脳――いつまでも「冴えた頭」でいるために知っておきたいこと』の内容を引用して作成した記事です)

下村健寿(しもむら・けんじゅ)
福島県立医科大学卒。同大副理事、医学部病態制御薬理医学講座主任教授。現役内科医でもある基礎医学研究者。日本糖尿病学会東北支部学術評議員。日本内科学会認定内科医。医学博士。群馬県前橋市出身。2004年、日本で働いていた大学医学部から、英国オックスフォード大学への就職を試み、執念の就職活動を実らせて成功。オックスフォード大学正式研究員として、世界を代表する生理学者フランセス・アッシュクロフト教授の薫陶を8年間受けた。その間、新生児糖尿病治療法の発見という世界的快挙に貢献。新生児糖尿病の最重症型であるDEND症候群の脳神経症状治療有効例を報告した論文は米国神経学会誌「Neurology」よりEditorial論文に選出された。貢献を認められて2006年と2010年にオックスフォード大学メリット賞を2度受賞。日本帰国後は、新生児糖尿病に加えて肥満・2型糖尿病などの生活習慣病について、インスリン分泌や脳機能の観点から研究している。