どうすればお金をかけずに、売上や利益をもっと増やせるのか? この切実なお悩みに答えるのが、人気の販促コンサルタント・岡本達彦氏の最新刊『客単価アップ大事典 「つい買ってしまう」販促の仕掛け75』(ダイヤモンド社刊)です。同書は、「行動経済学×現場目線」で「つい買いたくなる」販促の仕掛けとは何かを言語化した初の書。本書が提示するのは、「お客様の購買行動そのものを変える設計とは?」です。どうすれば、「利益が残る経営」へと変われるのか? 本連載では、『客単価アップ大事典』に収録しきれなかった事例の中から、現場ですぐに導入でき、成果につながりやすい客単価アップの仕掛けを厳選してご紹介していきます。
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「払ったから通う」ではなく、
「払ったから本気になる」理由
高級ジムの入会案内を見ると、入会金が10万円・20万円、あるいはそれ以上という数字が並んでいることがあります。
「そんなに払うなら近所の安いジムでいい」と思いながらも、気づけば「ここで本気でやろう」という気持ちになって申し込んでいた。
あるいは、入会後に「元を取ろう」と今まで以上に真剣に通い続けている自分がいた、そんな経験、または聞いたことはありませんか?
実はこの「高い入会金」は、単なる収益源や高級感の演出だけではありません。お客様自身の行動を変え、継続率と追加消費の両方を同時に引き上げるための、精密に設計された販促の仕掛けなのです。
「大きく払った」という事実が、
真剣さを生む(コミットメント効果)
人は、自分が自発的に下した決断に対して、それを正当化しようとする心理を持っています。特に、金銭的なコストが大きいほど、その決断への「コミットメント」は強くなります。
月額数千円のジムに入会した人と、入会金10万円を払った人では、その後の行動に大きな差が生まれます。前者は「行かなくてもまあいいか」と考えやすいのに対し、後者は「あれだけ払ったのだから行かなければ」という強い動機を持ち続けます。
この「払った金額に見合う行動をしなければならない」という心理は、サンクコスト効果の建設的な側面です。
高い入会金は、単にジムへの参入障壁を作るだけでなく、お客様自身の中に「本気でやる自分」という自己イメージを植えつける投資になるのです。
「同じ金額を払った仲間」が、
継続の環境を作る(選抜効果と準拠集団の形成)
もう一つの理由は、高い入会金がメンバーの質を揃えるフィルターとして機能するという点です。
10万円の入会金を払えるお客様は、経済的にも精神的にも健康への投資を本気で考えている層です。そのような人たちが集まる空間では、「みんな真剣に取り組んでいる」という雰囲気が自然に生まれます。
心理学では、自分が属したいと思う集団(準拠集団)の行動に強く影響を受けることが知られています。「周囲の会員も真剣に通っている」という環境が、個人の継続意欲を底上げします。
さらに、「この金額を払えた自分」という選ばれた感覚(排他性の演出)が、自己肯定感を高め、上位のパーソナルトレーニングや栄養指導といった追加サービスへの合意率も上げるのです。
他のお店でも使える
「高いコミットメントで本気を引き出す」設計
・料理教室・語学スクール
単発レッスンより割高に見える「年間一括払いコース」を設ける。まとまった金額を先払いした受講生は、元を取ろうという動機から出席率・宿題提出率ともに上がり、結果として成果も出やすくなる。成果が出るからさらに追加受講するという好循環が生まれる。
・ゴルフスクール
入会時に「クラブ選定コンサルティング費」として一定額を設定する。最初に大きな決断をさせることで、その後のレッスン継続・用品購入・コースデビューという一連の行動への心理的ハードルが下がる。
・オンラインコミュニティ/会員制サロン
月額制ではなく年会費制にし、かつ金額をあえて高めに設定する。「入ったからには活用しなければ」という心理が、コンテンツ消費量・イベント参加率・仲間との交流頻度を高め、コミュニティ全体の活性度と継続率を底上げする。
まとめ
高級ジムが入会金を高く設定するのは、利益率を上げたいだけではありません。
・「コミットメント効果」により、大きな支払いという決断が「本気でやる自分」という自己イメージを作り、通い続ける動機を内側から生み出し
・「選抜効果と準拠集団の形成」により、真剣な仲間が集まる環境が個人の継続意欲を底上げし
・「排他性の演出」により、選ばれた感覚が自己肯定感を高め、追加サービスへの投資を自然に正当化する
という、高い入会金そのものをお客様の行動変容のトリガーに変える、逆転の発想の販促戦略なのです。
販促コンサルタント
現場目線ですぐ使えるマーケティングを伝える第一人者。
広告制作会社時代に100億円を超える販促展開を見て培った成功体験をベースに、むずかしいマーケティングや心理学を使わず、
アンケートやマンダラ等を活用して、誰でも売れる広告を作れる手法を体系化する。
業界を問わず即効性が高く、お金をかけずに売上を上げられることから、全国の商工会議所・経済団体などからセミナー依頼が殺到する。
初の著書『「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法』(ダイヤモンド社)は、Amazon上陸15年、「売れたビジネス書」50冊にランクインする。
他の著書に、『お客様に聞くだけで「売れない」が「売れる」に変わるたった1つの質問』
『あらゆる販促を成功させる「A4」1枚アンケート実践バイブル』
『「A4」1枚チラシで今すぐ売上をあげるすごい方法』『「マンダラ広告作成法」で売れるコピー・広告が1時間でつくれる!』(以上、ダイヤモンド社)等がある。




