どうすればお金をかけずに、売上や利益をもっと増やせるのか? この切実なお悩みに答えるのが、人気の販促コンサルタント・岡本達彦氏の最新刊『客単価アップ大事典 「つい買ってしまう」販促の仕掛け75』(ダイヤモンド社刊)です。同書は、「行動経済学×現場目線」で「つい買いたくなる」販促の仕掛けとは何かを言語化した初の書。本書が提示するのは、「お客様の購買行動そのものを変える設計とは?」です。どうすれば、「利益が残る経営」へと変われるのか? 本連載では、『客単価アップ大事典』に収録しきれなかった事例の中から、現場ですぐに導入でき、成果につながりやすい客単価アップの仕掛けを厳選してご紹介していきます。
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「完走した翌朝」が、一年で最も財布が開く瞬間である理由
市民マラソン大会の翌日。筋肉痛で足を引きずりながらも、スマートフォンに届いたスポーツ用品店からのメール。「完走おめでとうございます!ランナー限定・翌日セール開催中」。
「新しいシューズが欲しかった」「ウェアも替え時だな」と、痛む足を引きずりながら店に向かい、気づけば予定以上の金額を使っていた。そんな経験はありませんか?
実はこのタイミングは、偶然でも単なる在庫処分の機会でもありません。人間の購買心理が一年の中で最も高まる「達成の翌日」を狙い撃ちにした、精密に設計された販促の仕掛けなのです。
「やり遂げた自分」へのご褒美が、
最大化するタイミング(達成後の自己報酬心理)
マラソンを完走した人間の脳は、長期間の努力と苦しい本番を乗り越えた達成感で満たされています。このとき、「頑張った自分へのご褒美」という自己報酬の動機が最大化します。
人は日常的な消費では「本当に必要か」を慎重に判断しますが、達成の直後には「これだけ頑張ったのだから、これくらいは許される」という自己正当化が強く働きます。
新しいシューズもウェアも、「次のレースへの投資」という合理的な理由まで揃っているため、支払いへの抵抗が二重に下がるのです。
さらに、完走タイムや順位という「数値化された成果」を手にしたランナーは、「もっと速く走りたい」「次の大会に向けて準備したい」という具体的な次の目標も同時に持っています。現在の達成感と未来の目標が重なるこの瞬間が、スポーツ用品への購買意欲が年間でもっとも高まる時間帯なのです。
「仲間も買っている」という同調が、
購買をさらに加速させる(社会的証明と集団的興奮の持続)
もう一つの理由は、大会翌日の購買が「集合的な体験の延長」として起きるという点です。
同じ大会に出場したランナーたちは、前日の苦しさと喜びを共有した「一時的な共同体」を形成しています。SNSには完走写真や記録が溢れ、「仲間たちも同じ興奮の中にいる」という感覚が続いています。
この集団的な高揚感の中でセールの情報が届くと、「自分だけが買う」ではなく「みんなが次のレースに向けて動いている」という社会的証明が働きます。「自分も準備を始めなければ」という同調の動機が、個人の購買意欲をさらに後押しするのです。
他のお店でも使える「達成の翌日」設計
・資格スクール・予備校
試験の翌日に「お疲れさまでした。次のステップへ」というメールと、上位資格コースや模試パックの案内を送る。達成感と「次の目標を立てたい」という前向きな気持ちが重なるこのタイミングが、追加受講の申し込み率が最も高い瞬間になる。
・ブライダルサロン
挙式の翌日または翌週に「ハネムーンフォトプラン」や「一周年アニバーサリー撮影」の案内を送る。結婚式という人生最大の達成感が冷めやらぬうちに届く提案は、「記念を残したい」という感情と直結して高い成約率を生む。
・料理教室
検定試験や修了発表会の翌日に、上位クラスへの進級案内と「修了記念割引」を案内する。「やり遂げた自分」への投資として次のコースが正当化されやすく、退会を検討していた受講生の継続率も上がる。
まとめ
スポーツ用品店がマラソン大会の翌日にセールをするのは、在庫処分や話題作りのためだけではありません。
・「達成後の自己報酬心理」により、やり遂げた自分へのご褒美と次の目標への投資という二重の正当化が購買への抵抗をゼロにし
・「社会的証明」により、同じ大会を走った仲間の高揚感が続く中での情報到達が、個人の購買意欲をさらに押し上げ
・「タイミングの設計」により、購買動機が最大化する翌日というピンポイントの瞬間に接点を作る
という、お客様が「今だから買いたい」と自然に感じる瞬間を、カレンダーの上に設計した販促戦略なのです。
販促コンサルタント
現場目線ですぐ使えるマーケティングを伝える第一人者。
広告制作会社時代に100億円を超える販促展開を見て培った成功体験をベースに、むずかしいマーケティングや心理学を使わず、
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初の著書『「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法』(ダイヤモンド社)は、Amazon上陸15年、「売れたビジネス書」50冊にランクインする。
他の著書に、『お客様に聞くだけで「売れない」が「売れる」に変わるたった1つの質問』
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『「A4」1枚チラシで今すぐ売上をあげるすごい方法』『「マンダラ広告作成法」で売れるコピー・広告が1時間でつくれる!』(以上、ダイヤモンド社)等がある。




