ケビン・ウォーシュ氏が連邦準備制度理事会(FRB)議長として最初に直面する課題は、金利をどうするかではない。同氏が置かれている時代を見極めることだ。同氏が引き継いだ経済については2通りの解釈が可能だ。その分かれ目となるのは人工知能(AI)の普及である。データセンター、電力、半導体、急騰するハイテク株など、AIが経済の需要を押し上げていることは誰の目にも明らかだ。問題は、この先何が起きるかである。一方の見方からは、生産性向上の恩恵は間もなくしかも大きく現れるため、FRBは基本的に静観し、その到来を待つべきだということが言える。経済の供給能力が需要に追いつき、物価も落ち着くだろう。もう一方の見方からすると、恩恵は確かにあるが数年先の話であり、需要は今まさに存在している、つまり、現在の好景気は経済を過熱させている。生産性向上の果実を待つならば、FRBは長く待ちすぎることになってしまう。