「人工知能(AI)ドクター」を巡る衝突が始まった。その最前線は米ユタ州だ。発端となったのは、米新興企業ドクトロニックが開発した技術だ。ユタ州は今年1月、同社のAIによる処方箋の更新を認めるプロジェクトを開始した。その狙いは薬剤を入手しやすくすることにある。ユタ州在住の成人であれば誰でもログインして、高コレステロール血症治療薬や抗うつ薬などの処方箋を更新することができる。このプロジェクトが完全に実施されれば、通常は医師が行うこの業務をAI製品が単独で担うという新境地を開くことになる。医師たちはこれに反発している。ユタ州医療免許委員会の委員長を務める家庭医のアラン・スミス医師は「薬剤に対して生死に関わる反応が起きることもある」と述べた。同氏は委員会を代表して発言しているわけではないとした上で、「責任の問題も心配だ。更新によって問題が生じた場合、実際に誰が責任を負うのか」と疑問を呈した。