半導体エヌビディアCEOが台湾・韓国を訪問したのに日本は「素通り」した残念すぎるワケPhoto:NurPhoto/gettyimages

米エヌビディアのフアンCEOが台湾と韓国を訪問し、財界トップらと面会・会食を精力的にこなした。一方、日本は「素通り」だった。この差は何か――。フアンCEOが、日本企業より台湾、韓国、中国企業を優位と見ている可能性は否めない。というのも、確かにそう思わざるを得ない点があるからだ。AI革命で日本が取り残されるリスクとは? (多摩大学特別招聘 真壁昭夫)

台湾・韓国は訪問したのに…
日本「素通り」のワケ

 5月下旬~6月上旬、米エヌビディアの最高経営責任者(CEO)、ジェンスン・フアン氏が台湾と韓国を訪問した。台湾訪問時、「台湾と韓国、どちらが特別か」と記者に質問されると、フアン氏は「両方とも特別」と答えた。台湾と韓国は、AI半導体の事業展開に必要不可欠な存在ということだろう。

 一方で今回、フアン氏は日本に来なかった。スケジュールの都合もあるだろうが、フアン氏にとって、日本企業より台湾と韓国企業の方が重要なのかもしれない。半導体の専門家からは、「日本の素通りは“AI時代のジャパン・パッシング”の兆候」という指摘もある。

 現在、フアン氏は、PC向けの新型プロセッサー「RTXスパーク」で、大きな変革を起こそうとしている。また、人型ロボットなどのフィジカルAI分野でも収益機会を狙っている。いずれの分野も、高性能な演算・データ保存用の半導体需要が高まる。

 一方、残念だが現在の日本には、台湾TSMCや韓国SKハイニックス、サムスン電子と互角に対峙できる企業が見当たらない。関連企業の設備投資計画を確認しても、大きく見劣りする(詳細は後述)。光半導体などの分野では、中国勢の追い上げも急ピッチに進んでいる。

 日本には、ロボットや半導体分野で世界シェアの高い企業がある。しかし、エヌビディアから素通りされてしまうのは、なぜなのか。ジャパン・パッシングが加速し、AI革命から取り残される恐れがある今の状況を、抜け出す術はあるのか――。フアンCEOが台湾で会った相手や、韓国で財界首脳と「庶民的な会食」をした狙いを追っていこう。