AI産業戦争 米中覇権に呑まれる日本#16Photo by Reiji Murai

キオクシアホールディングスがAIブームの主役に躍り出た。AIデータセンター向けに、NAND型フラッシュメモリーを搭載したSSDの需要が爆発的に伸びているためだ。今後の成長持続の行方を左右する最大の鍵が、米エヌビディアとの関係強化にある。特集『AI産業戦争 米中覇権に呑まれる日本』の#16では、キオクシアがエヌビディアとの協業を通じて獲得を狙う「二つの巨大ビジネス」の全貌に迫る。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

 キオクシアの快進撃は続くのか?
もはや「記憶装置の会社」ではない!

「エヌビディアとの協力関係を強めて、単なる記憶装置を作る会社ではなく、AIインフラの中心的な役割を果たす会社になっていく」

 6月4日、台湾・台北市で開催されたアジア最大級のコンピューター見本市「COMPUTEX(コンピューテックス)」の講演会。台湾企業の聴衆を前に登壇したキオクシアの福田浩一SSD応用技術技師長は、こう宣言した。

 その3日前の6月1日には、米エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が台北市内の講演で「(次世代AIサーバー製品の)ベラ・ルービンはフル生産に入った」ことを表明したばかりだった。福田氏の発言は、これを念頭に置いた決意表明だ。

 ベラ・ルービンの生産を支えるサプライチェーンでは、半導体チップの製造を委託する台湾TSMCを筆頭に、広帯域メモリー(HBM)を供給する韓国SKハイニックス、AIサーバーメーカーの台湾・鴻海精密工業など、台湾・韓国勢が存在感を放つ。一方で、日本企業の影は薄い。

 こうした中で、キオクシアは、NAND型フラッシュメモリーの需要拡大を受けて、エヌビディアのサプライチェーンの中核に食い込む意向を表明した格好だ。

 自信の背景にあるのは、世界的なメモリー需要の急拡大だ。これによりキオクシアホールディングスの業績と株価は急上昇している。

 5月に発表した決算で、2026年4~6月期の営業利益見通しが1.3兆円(前年同期は440億円)に上ると発表。さらに6月の投資家説明会では、AIの推論向けフラッシュメモリー市場における25~28年の年平均成長率(CAGR)は86%になるとの見方を示した。

 株式市場では最大の注目企業だ。6月12日にはキオクシアの時価総額はトヨタ自動車を超えて国内トップに躍り出て、16日には50兆円の大台に乗せた。24年12月の上場直後の時価総額は9000億円で、1年半で実に55倍以上に拡大した。

 キオクシアの快進撃はどこまで続くのか。成長の行方を左右する最大の鍵が、エヌビディアとの関係構築である。

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