日経平均6万7000円の陰で株価5.8倍!日本経済の「希望の星」になる企業の名前6月1日午前、取引時間中の最高値を一時更新した日経平均株価を示すモニター Photo:JIJI

日経平均株価が一時初の6万7000円台に伸びた。世界的にAIや半導体関連の株が好調なことが背景だ。6月1日、ソフトバンクグループの時価総額が48兆円に達し、トヨタ自動車を上回り日本トップとなった。わが国経済は長く自動車が牽引してきたが、半導体分野は同じくらい成長産業として復活できる余地が大きい。中でも注目は、株価上昇率トップ級のキオクシアだ。同社の強みと弱みを分析する。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

「株価の上昇率」で注目される
半導体メーカー・キオクシアとは?

 今、世界の株式市場で、投資家の視線はAI分野に集中している。特に、日・米・韓国・台湾の株価の動きを見ると、投資資金がAI関連分野に集中しているのが明らかだ。そうした中、「株価の上昇率」で注目されるのが、わが国のメモリー半導体メーカーであるキオクシアだ。2025年の世界の主要銘柄で、株価上昇率はトップクラスだった。

 キオクシアは、かつて「東芝メモリー」のブランドで事業をしていた。東芝で不適切会計問題が発覚し、業績が急速に悪化したのに伴い、東芝はメモリー事業を売却。現在のキオクシアが発足した。その意味では、キオクシアは、東芝のスピンアウト事業ともいえる。

 昨年来のキオクシアの株価高騰の主たる要因は、NAND型フラッシュメモリー専業で高い技術を持っていることだろう。もともと、東芝は、フラッシュメモリーを最初に発明した企業だ。その技術力は高く評価されていた。

 一方、競合する韓国サムスン電子、SKハイニックスは、AI向けの別タイプのメモリー半導体HBM(広帯域メモリー)に集中した。AIの学習データが加速度的に増えるにつれ、フラッシュメモリーとそれを進化させたSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)は、データセンターにも使われるようになり需要は急拡大。こうしてキオクシアの業績期待はうなぎ上りとなっている。

 キオクシアは、わが国経済の希望の星になる可能性を秘めている。日本企業に新しい製品を開発する実力が残っていると期待できる、稀有な企業である。

 一方で、技術力があれば勝ち続けられるかというと、違う。目先は良いだろうが、今後、どこかの時点でAIチップの供給は過剰になるだろう。

 過去、日本企業は、市況が悪化したときに成長投資を積み増すことが難しかった。これは、韓国勢と対照的だ。中国勢の技術のキャッチアップも加速している。今後の勝敗を分ける重要なポイントとは何か?