「やりたいことを見つけなさい」と言われる一方で、「一つに決めなければいけない」と思い込み、かえって動けなくなる人がいます。しかし、本当に大切なのは「一つの仕事」を見つけることではないのかもしれません。『世界の果てのカフェ』には、その思い込みをやさしく解いてくれる一節があります。「何度読んでもハッとする」と話題の一冊から、相談者に響いた名言について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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やりたいことが多すぎて絞れない
最近、こんな相談があった。
相談者は、とても真面目な人だった。
「やりたいことは一つだけあるはず」
そう思っているからこそ、選べない自分に焦りを感じていた。
私はこの相談を聞いて、『世界の果てのカフェ』という本の一節を思い出した。
「何をやるか」よりも「なぜやるか」
本書では、ケイシーがジョンに問いかける。
「もし、すきま時間に創作活動をするとしたら、どんな作品をつくる?」
するとジョンは、こう答える。
――『世界の果てのカフェ』より
このやり取りを読んで、私は大切なことに気づかされた。
多くの人は、「何をやるか」ばかり考えている。
教師になるのか。カウンセラーになるのか。福祉の仕事をするのか。
でも、本当に考えるべきなのは、その前にある「なぜ、それをやりたいのか」なのである。
手段は一つである必要はない
さらにジョンは、こんな疑問を口にする。
「もし、ぼくがここにいる理由が人を助けるためだとしたら、ぼくの『人助け』の定義に合う限り、なんでも好きなことをやればいいのか……?」
それに対してケイシーは、はっきりと答える。
「そのとおりよ」
医療従事者になってもいい。
貧困地域にシェルターを建ててもいい。
会計士として税金の整理を手伝ってもいい。
どれも、「人を助ける」という存在理由を満たす方法なのだ。
この考え方は、とても自由だ。
存在理由は一つでも、それを実現する方法は一つとは限らない。
だから、「教師かカウンセラーか」という二者択一で悩む必要はない。
どちらも、自分が大切にしている価値観につながっているなら、どちらを選んでもいいのである。
「やりたいこと」は一本の幹
相談者に私はこう伝えた。
「やりたいことを一つに絞る必要はありません。まずは、それらに共通する『なぜ』を見つけてください」
人を育てたい。誰かの力になりたい。安心できる場所をつくりたい。
その「なぜ」が見つかれば、仕事の選択肢は一気に広がる。
教師も、カウンセラーも、福祉も、文章を書くことも、そのすべてが同じ方向へ向かう道になる。
『世界の果てのカフェ』が教えてくれるのは、「やりたいことは一つ」という考え方ではない。
一つの存在理由から、たくさんの「やりたいこと」が生まれてもいいということだ。
だから、「どれを選ぶか」で立ち止まる必要はない。
まずは、自分が何を大切にして生きたいのか。
その一本の幹を見つければ、枝葉は自然と広がっていくのである。
(本稿は、『世界の果てのカフェ』の発売を記念したオリジナル記事です)




