「退職後、やることがない…」そんな孤独や孤立のリスク、定年を迎えてから対策しては遅いかもしれません。大人になるにつれ、人とつながる「強制的な居場所」は減少し、年齢とともに新しい人間関係を築くハードルも上がります。だからこそ、柔軟性とエネルギーが残る「50代」が勝負。老後の憂鬱を防ぎ、本当に大切なつながりを設ける“心の窓の開き方”をお伝えします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・斎藤順)
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。
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退職後に直面する「孤独」と「目的の喪失」
私は現在48歳で、あと2年で50代に入ります。そこで人生後半の人間関係についてふと気づいたことがあります。それは、仕事を引退したり退職したりした後に、孤独を感じる人が非常に多いということです。
忙しすぎるのも考えものですが、退職によってやることがなくなったり、目的を失ったりすることは精神的に良くありません。この時期にうつ病を発症する人もいます。
「忙しい」のであれば減らすという対処ができますが、「何も見つからなくてしんどい」という状況は、解決策が見えにくく非常に厄介です。
年齢とともに失われる「共通の場所」
退職の時期になってから慌てて考えても、どうしていいか分からなくなってしまうことが多いのではないでしょうか。人間は、意識せずに放置していると、どんどん孤独になっていく生き物です。その理由は、人とつながるための「共通の場所」が年齢とともに減っていくからです。
子どもの頃は、学校や塾、部活など、強制的に集められる「共通の場所」がたくさんありました。強制的に同じ場所にいるからこそ、そこに自然と絆や交流が生まれます。
しかし、大人になるにつれて自由度が増していきます。大学に行くのも自由ですし、社会人になれば職場という強制力はあるものの、異動や転職で環境はどんどん変わります。自営業などを始めれば、共通の場所はさらに減るでしょう。
そして最終的に定年退職を迎えると、これまで与えられていた「強制的な居場所」がゼロになってしまうのです。
感情的な寂しさより恐ろしい物理的な「孤立」
居場所がゼロになれば、当然人と会う機会は減り、生きる目標を見失いやすくなります。だからこそ、50代の今から、職場などの「強制的に会う環境」とは関係のない場所で交流を作っておくことが大切です。
孤独において本当に問題なのは、感情的な「寂しさ」よりも、いざという時に頼れるつながりがなく、サポートを受けられない物理的な「孤立」のリスクです。一人で最期を迎えること自体は、覚悟があれば問題ないかもしれません。しかし、本来なら助かるはずの場面で助けを求められずに命を落としてしまうのは避けるべきです。
誰もいなくなってから「どうしよう」と悩むのではなく、今のうちから自分の意思でつながれる人間関係を築いておきましょう。趣味の集まりやボランティア、スポーツジムなど、場所はどこでも構いません。
なぜ定年後ではなく「50代」から始めるべきなのか?
現代は一人暮らしや夫婦二人だけの世帯が増え、親戚とも疎遠になりがちな「孤独の世代」が非常に増えています。
では、なぜ定年後ではなく、50代から準備すべきなのでしょうか。それは、年齢を重ねると人間関係を新しく築くのが難しくなるからです。人間性が出来上がりすぎてしまい、新しい場所に行くのが億劫になります。
さらに、自分では無自覚でも、人は年齢とともに“自分独自のクセ”が強くなります。孤立しやすい人ほどその傾向が強く、クセが強すぎるゆえに新しい環境で友人を作ることが難しくなってしまうのです。たいていの場合、こだわりが強くなり、新しい人への興味やワクワク感も若い頃より薄れてしまいます。
窓を開けつつ、不要な繋がりは手放していく
だから、まだ柔軟性があり、他者と友達になりたいという感覚やエネルギーが残っている50代のうちに、仕事以外のつながりを作る練習をしておくことをおすすめします。
無理にたくさんの友人を作る必要はありません。「この人と会うと楽しい」と思える人と、1人か2人でもつながっておけば十分です。人間関係を厳選しながらも、他者へと繋がる「心の窓」はしっかりと開けておくことが、退職後の憂鬱を防ぐ鍵になります。
また、一度つながりができれば、そう簡単には途絶えないものです。新しく良い縁を結ぶと同時に、50代からは「つながっていても意味がない」と感じる人間関係は、少しずつフェードアウトさせていくのも良いでしょう。




