株価チャートを前に頭を抱える投資家の後ろ姿写真はイメージです Photo:PIXTA

投資で難しいのは、買うことよりも持ち続けることかもしれない。不動産、海外債券、株式。いずれも価格が下がる局面は避けられないが、それでも手放さずにいられる投資先には共通点がある。経済学者が考える「下落しても納得できる投資」とは。※本稿は、経済学者の齊藤 誠『日本経済を診る――シン・競争の作法』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。

下落しても住み続けたい
不動産を選べるか

 2010年代後半ごろから、日本の財政金融構造の問題にかかわって意見を聞かれることが多かったが、小難しいマクロ経済モデルのことを話しても詮方がなかった。そこで、自分が信じていることを方便にならない範囲で、できるだけ平易な言葉で語った。

 膨大な借金を抱えた日本政府が、元利払いを先延ばして「借りっぱなし」が可能になるのは、家計が、デフレ予想からゼロ金利の預金に置いておいても、かえって目増え(目減りの反対語のつもり)すると信じて「貸しっぱなし」にしているからだ。

 しかし、ゼロ金利とデフレ予想によって保たれている政府の「借りっぱなし」と家計の「貸しっぱなし」が四つに組む状態は、決して盤石とはいえず、何かをきっかけとして、崩れてしまいかねない。そうであるとすると、高金利と物価高の状況になってもおかしくない。

 そんなたわいのない話でも、周囲の人びとは、自分のカネのことを考えるヒントとなるようである。

 長期金利が1%をかなり下回っていたころ、おそらくは、新型コロナ禍が終息したころ(22年)だったと思うが、私の雑談を聞いて、「要するに、金利が低いうちに固定金利(借りたときの金利がずっと続くローン)でカネを借りて、インフレに強い不動産を買えばよいのですね」という感想をいう人があった。