私の方針は、(1)借りたカネで株を買わない、(2)下がっても長く持ち続けたいと思う会社の株を買う、というぐらいであろうか。(1)と(2)は、実のところ、深く関係している。借りたカネで買った株は、その株をいずれ売って借金を返さないとならないので、長く持ち続けることができないからである。

 あまり強い根拠のある話ではないが、経済全体の動向で株価が大きく下落しても、業績回復を信じることができる会社の株式であれば、10年ぐらいで株価が戻ってくるのではないかと思っている。

 たとえば、日経平均は、07年6月末に1万8138円でピークを打って、09年2月末に7568円まで下落した。その後の日経平均は、15年2月末までに1万8798円に回復した。その間、優良な株式は株価を回復してきた。

 長く持ち続けたいと思う株式は、人それぞれであろう。私は、過度な円安依存の日本の輸出企業に強い懸念を感じてきた。そこで「今後の日本経済にとって中核的な輸出商品は何なのか」、「為替レートに左右されない輸出入商品は何なのか」を考えて、内外の防衛産業株が中心の投資ファンドをいくばくか保有している。

『日本経済を診る――シン・競争の作法』書影日本経済を診る――シン・競争の作法』(齊藤 誠、筑摩書房)

 価値判断をいったんおくとして、現代のように複雑な国際情勢において、技術革新の中心がどのような産業なのかも真剣に考えてみた。ウクライナの主力輸出品の一つがドローン兵器であることも示唆的なように思う。

 ただし、やや突き放した見方をしてみると、世界全体の防衛産業が衰退しその株価が下落していく社会は、決して悪いわけではないとも真剣に思っている。執筆中の25年12月、国会では武器輸出の5類型撤廃に関する議論が活発であったが、年が明けて衆議院選挙となると影をひそめてしまった。武器輸出の制度化には、かずかずの難題がひかえているが、今後の議論の行方には、強い関心を持っている。

 こうして見てくると、不動産にしても、外債にしても、株式にしても、資産価格が下落したまさにその局面において、資産保有者が市場価格以外の価値を見出すことができるかどうかが、「失敗しても納得できる投資」にとってとても重要な要素といえるのかもしれない。