久しぶりに実家に帰ったのに、親と話しているとなぜか言い合いになってしまう――そんな経験はありませんか? 本当は楽しい時間を過ごしたいだけなのに、会話がぎくしゃくしてしまう。その原因は、話の内容ではなく「伝え方」にあるかもしれません。
佐々木圭一さんに、口うるさい親が相手でも喧嘩にならない「伝え方」を教えてもらいました。(構成 伊藤理子)
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感情をぶつけるのではなく「伝え方の技術」で一工夫を
親元を離れて一人暮らしを始めると、実家に顔を出すのがおっくうになるものです。数ヶ月に1回とか、年1がせいぜいという方も多いのではないでしょうか。
久しぶりに実家に帰ってゆっくりのんびりしたいのに、子どもが心配で何かと口うるさくなってしまうのが親というもの。面倒くささから適当に返事をすると、それが親の癪に障り、喧嘩に発展してしまう…実家あるあるかもしれませんが、せっかく時間を作って会いに行っているのに険悪ムードになってしまうのは残念ですよね。
こういう親子間での無用なトラブルは、実は伝え方一つで回避することが可能です。
例えば、実家に帰るたびに「まだ結婚しないの?」「お付き合いしている人はいないの?」と口うるさく言われてうんざりしている場合。「もうほっといてよ!」と言いたくなりますが、そのまま伝えてしまうと「あなたが心配だから言ってるんじゃない!何その言い方!」などと反発され、言い争いに発展してしまうでしょう。
ではなんと伝えればいいのか。このような伝え方をお勧めします。
×「結婚のことは、もうほっといて!」
○「会社でも毎日のように、その話になるよ。ほっとできるのはお母さんと話しているときだけなんだから、今だけは違う話題にしてくれる?」
これは伝え方の技術「あなた限定」を使った伝え方です。人は「あなただけ」と限定されると嬉しくなり、多少意に沿わないことでも前向きに受け入れようとします。「お母さんと話しているときだけほっとできる」と特別扱いされると、母親としては嬉しいもの。「だったら今後はあまり口うるさく言うのは止めようかな」と思ってもらいやすくなります。
親への伝え方で気をつけたいポイント
親は関係性が深い相手だからこそ、つい感情をぶつけがちになりますが、喧嘩したくないのであれば「思ったことをそのまま伝える」のはぐっとこらえましょう。
そのうえで、次のポイントに気を付けて伝えてみてください。
●ポイント1:親の承認欲求を否定するコトバは言わない
親に小言を言われると、「ほっといて!」「またそれ?」「わかってるって」「うるさいな」などとつい言ってしまう人が多いと思います。親子関係だからこそ言える言葉なのですが、これらは相手を否定する“余計なひと言”であり、あまり言いすぎると険悪ムードに拍車がかかってしまいます。
「いい加減言われたくない」という気持ちを分かってほしい…と思うかもしれませんが、これらの言葉を言わなくても、伝え方の技術を使えば気持ちは十分伝わります。
●ポイント2:小言の前提にある“気持ち”を認める
なぜ親が口うるさく言うかと言えば、子どもに幸せになってほしいから。その思いが心配につながり、小言となって表れているのです。
親の視点に立ってみれば、その思いを少しは理解できるはず。そして「お母さん(お父さん)の気持ちはわかっているよ」と伝えれば親の心配を軽減できますし、こちらの意見も聞き入れてもらいやすくなるでしょう。
●ポイント3:一部でも共感できる部分がないか考える
親の小言にはどうしてもイラっとさせられるもの。思わず反発したくなってしまいますが、一呼吸おいて、小言の中に共感できる部分がないか考えてみましょう。相手の頭の中を想像すると、口うるさい言葉の中から、「愛情」や「心配する気持ち」を感じ取れるかもしれません。
そして、思いを伝える際にはその「愛情」や「心配」の部分から投げかけてみることをお勧めします。
例えば「この子はいつまでも一人のままで…結婚はまだなの?」と言われたら、「心配かけているよね。でも私なりに考えているから、今はあまり結婚について言わないでくれると嬉しいな」などと伝えると、親も納得しやすくなります。
伝え方の技術は、親とのこんなシーンでも使える!
関係性が近しい親だからこそ、感情のままに伝えてしまいがちですが、伝え方の技術を使って言い方を工夫することで、親との良好な関係性を保つことができます。そして、義理の両親相手でも、伝え方の技術は力を発揮します。
例えば、「地方に住んでいる姑から、毎週のように手料理が大量に送られてきて困っている」との声を聞くことがあります。大量すぎて食べきれなかったり、届いた時点で傷んでいるケースもあったりして、送るのを少し控えてほしい…という場合。「もう送っていただかなくて大丈夫です!」とピシッと言いたくなりますが、相手は「私の料理がまずいというの?」と否定されたように感じてしまいます。家族とはいえ、相手は夫のお母さん。下手な言い方をして関係性をこじらせたら、後々ややこしいことになりそうです。
そんなとき、伝え方の技術を使ってこのように伝えてみてください。
×「こんなに送っていただかなくて大丈夫です」
○「いつもありがとうございます!でも、私も主婦なので、お義母さんの手間がかかって大変なのはよくわかります。月に1回いただけるだけで、本当にありがたいです」
これは伝え方の技術「感謝」と「認められたい欲」の2つを使った伝え方です。
人は「ありがとう」と感謝されると、相手との距離がぐっと縮まったと感じます。そして距離が縮まった相手にお願い事をされると、断りづらくなります。
そして「お義母さんの手間がかかって大変なのはよくわかる」と、お義母さんの大変さを認めています。人は認められると相手の思いに応えたくなるので、暗に「月に1回でいい(送る回数を減らしてほしい)」というお願いにも、嫌な気持ちになることなく対応してもらえるでしょう。逆に「息子は全然理解してくれないけれど、このお嫁さんは私の大変さを理解してくれている!」と好感を持ってもらえるかもしれません。
×の伝え方と○の伝え方、伝えたいことはどちらも同じですが、伝え方の技術を使えば相手が受ける印象はガラリと変わるのです。
親しい親子関係だからこそ、伝え方を間違えるといらぬ喧嘩やいざこざが起こってしまいます。それを伝え方一つで回避できるならば、こんなに便利なことはありません。むしろ親子関係が今まで以上に良好になる可能性も大いにあるので、ぜひ積極的に取り入れてみてください。







