特に中国では
日本の不妊治療は人気がある

 また、高額療養費制度により、実質の負担はとても少なくてすむ。最近では悪性腫瘍(がん)の治療中に働く人も増えている。

 あるいはその配偶者というケースもある。

 日本では不妊治療が保険でカバーされるようになった。東京都などは住民であれば助成対象になる。海外では不妊治療は大きな出費となることが多いし、特に中国では日本の不妊治療は人気がある。

 だからということで本人が日本で仕事をしながら自分が不妊治療を受けたり、その配偶者が不妊治療を受ける家族もいる。

『外国人患者:医療ツーリズムと日本の現実』書影外国人患者:医療ツーリズムと日本の現実』(山田秀臣、新潮社)

 日本の安い治療費(といっても患者の支払いが安いだけで、実際は健康保険料や国費によって補填されているわけだが)や高い医療レベルが、海外から優秀な人材を招き入れるアドバンテージとして機能しているのなら何も文句はない。その分、日本に貢献してくれればWin-Winである。

 だが、もしも法の隙間を狙い、利益だけを得て日本を去ってしまうのなら、日本という国にとっても健康保険制度の存続にとってもダメージでしかない。

 さらにおそろしいのは、今はまだこうしたことを行うのは、治療費が高額で時間に余裕のある病気の場合や、情報収集能力に長けており、日本での就職も可能な優秀な人材だけかもしれない。

 だが生成AIのせいばかりでなく、世界中、誰でもが同じ答えに辿り着く日が来てしまうかもしれないということだ。

 世界中から人が押し寄せてはいったん就職し、治療が終わったらさようなら、というのは違法ではない。そんなことが繰り返されたらと思うとゾッとしないだろうか。