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子どもの安全確認、保護者対応、地域との連携――教師の仕事は、授業だけでは終わらない。「子どものため」「保護者のため」と頼まれれば、簡単には断れない仕事ばかりだ。だが、その一つひとつを引き受けるたびに、教師が本来もっとも時間をかけるべき「授業準備」は後回しになっていく。教師の放課後は、どのように失われていくのか。筆者が各地の小学校で見聞きした実例をもとに、その現実を追う。※本稿は、作家の西岡壱誠『カスハラ化する保護者たち』(星海社)の一部を抜粋・編集したものです。
放課後にかかってきた
保護者からの“SOS”
その日の放課後、H先生は学年の書類整理をしながら、ようやく少しだけ席に座れていた。
授業が終わったあとの学校は静かになる、などというのは外から見た印象にすぎない。
実際には、子どもが帰ったあとこそ、教師の仕事が積み上がる。提出物の確認、保護者への連絡、会議資料の作成、行事の段取り、記録の入力。日中は子どもの対応で埋まりきっているから、それ以外の仕事は放課後に押し出される。
そこへ、1本の電話が入った。
「先生、うちの子がまだ帰ってこないんです」
母親の声は切迫していた。
「今日は何時ごろ学校を出たか分かりますか」
「分からないんです。でも、いつもならもう帰ってくる時間で……。学校で探してもらえませんか」
H先生は一瞬、時計を見た。
まだやるべき仕事が机の上に山のようにある。だが、そんなことを言ってはいられない。もし本当に事故や事件に巻き込まれていたら、取り返しがつかない。
「分かりました。こちらでも確認します」
電話を切ると、H先生はすぐに職員室の何人かに声をかけた。
下校ルートを思い浮かべ、近くの公園、通学路、学童、友人関係を洗う。場合によっては、職員が手分けして近隣を見て回る。







