江本 さすが「神さま」ですね。

柴田 神さまっていうか、タイプが違うから、王派とか長嶋派というのはないね。実際、オレもそんなこと考えたこともないしね。ただ、親しく兄貴分として話ができるのが王さんで、長嶋さんが目の前に来たら、直立不動で「おはようございます」って言ってお辞儀をしちゃうね(笑)。

江本 それね、われわれ評論家とは接点がないじゃないですか。長嶋さんが巨人の監督のときに、バッティングケージの後ろで、僕はいつも直立不動でしたよ。長嶋さんはそんな気は全然ないんだろうけど。

柴田 そうだね。長嶋さんは全然そんなことはないんだろうけど、それはあるよね。たとえば、どこかの飲食店で王さんと顔を合わせたら、「あっ、王さん、一緒にどうですか?」って手を振りながら気さくに言えるけど、長嶋さんの場合は席を立ち上がって、「どうも、ご無沙汰しております。柴田です」って頭を下げてしまうよね。もっとも、「柴田です」なんて言う必要はないんだけどね(笑)。長嶋さんもわかっているから。

 そんなときは、「なんだ、おまえも来てたのか」って言ってくれるんだけどね(笑)。

江本 「柴田です」って言っておくことは大事ですよ。ひょっとしたら忘れているってこともあるかもしれませんから(笑)。

監督としての長嶋茂雄は
チームの外に顔を向けていた

江本 監督としての長嶋さんは、どうだったんですか?

柴田 別に評価をするわけじゃないんだけど、長嶋さんは乗せるタイプかな。強いときにはチームのムードもいいよね。でも、弱くなったり、ダメになったときには表情に出ていたな。川上さんは、そういうのはいっさい顔に出さないタイプだった。試合に勝とうが負けようが表情には表さないことを徹底していたけど、長嶋さんは、どっちかって言うと、自分がどうやって目立つ……というかな。

江本 結構、言いにくそうにしてますね(笑)。