柴田 「自分が」というのを心得ている人だよね。川上さんは新聞記者が来ても知らんぷりしているけど、長嶋さんは逆だった。川上さんはチームのなかに顔を向けている監督さん、長嶋さんはチームの外に顔を向けている監督さんだった。つまり、お客さんをどうやったら喜ばせるかというのを最初に考えてプレーしていた人だったじゃない?オレたちはそんなことまで考える余裕なんてないよね。自分のことで手いっぱいじゃない?
だから、よきにつけ、悪しきにつけ、全然別格。スーパースターだった。持っている資質が王さんと長嶋さんとでは違うので、比べろと言われても困るし、王派、長嶋派もなければ、川上派なんていうのもなかったからね。
ただ、川上さんの現役時代を知っている方は、川上さんが現役時代のころは結構わがままなプレーをしていたのを知っていたらしいんだよ。それが(監督になった途端)、突然、「チームプレー」を徹底させたものだから、「自分はチームプレーなんてしたこともなかったくせに」と言って衝突した人もいたっていうんだよ。
江本 そういうふうに両面を見ちゃうと、言いたくなる人もいるでしょうし、その人たちの気持ちも考えると、あまり責められませんよね。
柴田 「言っていることと、やっていることが違うじゃないか」って言う人もいるとは思うけど、オレは監督というのはそれでいいと思っているよ。
『昭和・平成 プロ野球ぶっちゃけ話 「あの伝説」の真相が10倍楽しくわかる本』(江本孟紀、清談社Publico)
江本 柴田さんは監督をしたくなかったんですか?
柴田 したかったけど、できなかった。
江本 でも、したかったっていうのが本音であるでしょう?
柴田 そうねえ。1回くらいは、やってみてもよかったかなとは思う。でも、これは運だよね。
江本 阪神の監督をやってみたら、おもろかったのに。
柴田 エモやんみたいなのがいたらさ、「柴田がアホやから」って言われそうだしな(笑)。
江本 あ~、それはあるかもな(笑)。







