どのような「小さな不快」を選ぶかは人それぞれです。「夜のお菓子を我慢する」や「新しいものを買ったら何か捨てる」など、なんでもいいのであなたにとって少しだけ忍耐が要求される行動を採用してください。

 その際に、もっとも大事なのは「難易度の設定」です。たとえば、「夜はお菓子を我慢する」という不快を選んだとしても、人によってはどうしても耐えられないかもしれませんし、人によっては楽にこなせるレベルかもしれません。このラインを間違えると、せっかくの儀式が逆効果になってしまいます。

 多くのデータによれば、「不快」の難易度は、成功率が8~9割になるあたりを目指すのがベストです。これより上の難易度だと気持ちがくじけてしまいますし、いつも成功するようなレベルだとトレーニングになりません。大半の場面では耐えられるものの、まれに失敗してしまうような不快さを選ぶようにしてください。

「5のルール」で
小さな不快を重ねる

 もし適切なレベルの「不快」が見つからないときは、とりあえず「5のルール」を試すのもいいでしょう。カウンセリングの世界などで「先延ばし対策」に使われるテクニックで、基本的なルールは単純です。

・仕事を止めて休憩したくなったら、あと5分だけ続ける

・ふとスマホをチェックしたくなったら、あと5分だけ目の前の作業を続ける

・腹筋運動をやめたくなったら、あと5回だけ続ける

・読書に集中できなくなったら、あと5ページだけ読む

 作業を止めたくなったら、とにかく5の数を使ってタスクを続けてください。このルールを守るだけでも、あなたの生産性にはかなりの差が出ます。

 私たちの集中力は非常にもろく、いったん目の前の作業から気がそれると、再びもとの状態にもどるまでに20~30分の時間を必要とします(注3)。この時間が積み重なり、1日のムダが合計3~4時間に達するケースも珍しくありません。

(注3)McKay Moore Sohlberg , Catherine A. Mateer (2001) Cognitive Rehabilitation: An Integrative Neuropsychological Approach