「仕事だけは順調なのに、なぜか幸せではない」。そんな人は少なくない。その背景にある落とし穴とは? 漫画家のかっぴー氏が著書で提唱する実践的な才能論「カード思考」では、人が持つカードは仕事のためだけに存在するものではないと考える。本記事では、「仕事一筋の人」がなぜ不幸になってしまうのかを、カード思考の視点から解説する。

「仕事一筋の人」がなぜか不幸になる理由Photo: Adobe Stock

「仕事一筋」でも幸せになれない人

仕事に打ち込むことは悪いことではない。むしろ、何か一つのことに夢中になり、成果を出せる人は素晴らしい。しかし、「仕事さえうまくいけば幸せになれる」と考え始めた瞬間、人はかえって苦しくなることがある。その理由を、著書で提唱する実践的な才能論「カード思考」から考えてみたい。

才能は、ときに本人を苦しめる

才能があれば幸せになれる。そう思われがちだ。しかし実際は、その逆も少なくない。

営業が得意なら、営業ばかり任される。責任感が強ければ、重要な仕事ばかり集まる。成果を出せば出すほど、周囲の期待も、自分自身が自分に課す期待も大きくなる。

気づけば、「もっと成果を出さなければ」「もっと頑張らなければ」という思考から抜け出せなくなる。

才能は人生を豊かにする一方で、それだけに依存すると、自分を縛る鎖にもなってしまうのである。

仕事だけが、自分の価値になる

大切なのは、「すべてのカードを仕事で使う必要はない」ということだ。

カード思考では、人はさまざまな「カード」を持っている、と考える。仕事で評価されるカードもあれば、仕事とは関係なく、自分や周囲の人を幸せにするカードもある。

ところが仕事一筋の人は、仕事で評価されるカードばかりを使い続ける。すると幸せの土台を、仕事一つに預けてしまっていることになる。

人生は、仕事だけではない

仕事は人生の重要な一部である。しかし、人生そのものではない。

仕事では使わないカードにも、大きな価値がある。

誰かを安心させるカード。人を笑わせるカード。好奇心のカード。思いやりのカード。

こうしたカードは、売上や評価には直結しないかもしれない。それでも、それらのカードを使っている時間は、自分自身や周囲の人を豊かにしてくれる。

カード思考とは、仕事で勝つためだけの考え方ではない。人生全体の中で、自分のカードをどう使えば、自分らしく生きられるかを考えるためのものでもある。

「天才状態」は仕事だけではない

本書でいう「天才」とは、生まれつき能力が高い人ではない。

自分のカードを自然に使えている「天才状態」にある人のことだ。

そして、その状態は仕事だけで訪れるものではない。人と話しているときかもしれない。誰かを助けているときかもしれない。好きなことに没頭しているときかもしれない。仕事でしか天才状態を味わえない人生よりも、人生のさまざまな場面で天才状態になれる人生のほうが、幸福度は高くなる。

自分のベテランになる

仕事一筋の人は、仕事のカードばかり磨いてしまう。

しかし、自分のベテランになるとは、「仕事で勝つ方法」を知ることではない。

自分はどんなカードを持ち、どんな場面で自然体になれるのか。そのカードを、人生全体の中でどう活かしていくのかを理解することだ。

仕事は人生を豊かにしてくれる。だが、仕事だけに人生を預けてしまうと、仕事が揺らいだ瞬間、人生まで揺らいでしまう。

本当に幸せな人とは、仕事で成果を出している人ではない。仕事も人生も含めて、自分のカードをバランスよく使い、「天才状態」で過ごせる時間を増やしている人なのである。

(本記事は書籍『天才になれなかった全ての人へ 自分だけの武器が見つかる才能論』に関する書き下ろし原稿です)