朝、目覚めてから最初の数分間は、その日一日の過ごし方を左右する重要な時間だ。しかし、多くの人は無意識のうちに、生産性を下げる行動を選んでしまっている。医師で老年医学・栄養科学の専門家であるガブリエル・ライオンの知見をもとに、一日が台無しになってしまう習慣と、それを断ち切る方法を紹介する。(ダイヤモンド社書籍編集局・三浦岳)

【こりゃ見てらんないわ】仕事ができない人の「朝イチの習慣」ワースト1Photo: Adobe Stock

貴重な時間を浪費してしまう

 一日の始まりである最初の数分間は、その日全体の生産性を決定づける、意外と見落とされがちな時間だ。とくに避けたい最悪の習慣が、「布団の中でだらだらとスマートフォンを眺めること」だ。

 起床直後にSNSやニュースをスクロールすることは、脳に安易な刺激を与え、朝一番の貴重な時間を浪費させる。日頃から「時間がない」と口にする人に限って、スマホの画面に多くの時間を切り崩されてしまっているのではないだろうか。

 医師で老年医学、栄養科学の専門家であるガブリエル・ライオンは著書『筋肉が全て』において、自律と計画の重要性を次のように説く。

 自分を高い基準にまで引き上げるには、しっかり計画を立てて確実に実行する必要がある。
 怠惰な習慣に屈することの代償を忘れないようにしよう。
 なんとしても健康的な行動を習慣化し、身体が自然に動くようにしよう。――『筋肉が全て』より

失敗したら海に飛び込む

 朝のスマホいじりは一見無害なリラックスに見えるが、本質的には「自己規律の放棄」を意味している。

 このような自滅的なサイクルを克服するには、単に「明日からやめよう」と誓うだけでは不十分だ。誘惑を物理的に排除し、決意を守るための具体的な仕組みが大事になってくる。

 自分の弱さを克服する計画を立てなければ、刹那的な快楽や満足感を追い求めることになってしまう。
 この自滅的なサイクルを克服する手っ取り早い方法は、あきらめた場合の結果を味わうこと、すなわち適切なペナルティを自らに課すことだ。
 私のクライアントの中に、毎晩、夫と子どもが寝静まったあとでキッチンでつまみ食いをする女性がいた。
 だが、間食をしたら家の近くの海に飛び込むと決めて、彼女は深夜の間食をやめることができた。
 一度だけ極寒の海に浸かったが、震え上がる体験をしたことで、自分の決意を守れるようになった。――
同書より

 朝一番、スマホに手を伸ばすかどうかで、その日の集中力はかなり変わる。

 海に飛び込むほど極端でなくてもいい。大事なのは、誘惑そのものに手が届かない状況を先に作っておくことだ。たとえば、朝はスマホを枕元から遠ざけておくといったシンプルな仕組みをつくる。手が届かなければ、そもそも「見るか見ないか」を意志力で判断する必要がなくなるからだ。

 こうした小さな仕組みの積み重ねが、一日の始まり方を、ひいては人生そのものを変えていくのだ。

(本記事は、ガブリエル・ライオン著『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』に関連した書き下ろし記事です)

ガブリエル・ライオン(Dr. Gabrielle Lyon)
医師(DO)
イリノイ大学で栄養科学の学部課程を修了後、セントルイス・ワシントン大学において老年医学・栄養科学の臨床・研究フェローシップを修了。健康、パフォーマンス、老化、疾病予防におけるタンパク質の種類および摂取量の実践的応用に関する分野の専門家、教育者として活躍している。筋肉についての最新研究を網羅した本書は全米で大きな話題を呼び、ニューヨーク・タイムズベストセラー、ウォール・ストリート・ジャーナルベストセラー、USAトゥデイベストセラーとなり、世界各国での刊行が続いている。