年齢を重ねれば体力が落ちるのは仕方がない――そう諦めている人もいるかもしれない。しかし、運動の習慣がある人は体力をキープできていることが多く、やり方によっては体力を向上させることもできる。本記事では、日常に取り入れたい運動の習慣について紹介する。(構成/小川晶子)

【年齢に負けない】40代から体力が伸びる人、落ち続ける人の決定的な違いPhoto: Adobe Stock

年齢とともに落ちていく体力

 知人の息子(高校生男子)が、友だちとよく旅行に行くらしいのだが、その行程があまりにもすごいので驚いた。

 まず、宿泊しない。安い深夜バスで行って深夜バスで帰ってくる。旅先では観光スポットを基本的に歩いて回る。多少無茶なスケジュールでも走ってこなす。しかも、バスで帰って来てそのまま学校に行くこともあるという。

「体力どうなってんの?」

 ひたすらそう言ってしまった。

 しかし、若いということはそういうことなのかもしれない。私も若い頃はたいして寝ないで歩き回ってもすぐに回復できた……のかな。

 半世紀生きてきて、いまは見る影もない。体力のある人の話を聞いて驚いてばかりだ。

よく動いている人は体力が落ちにくい

 年齢を重ねるにつれ、どうしたって体力は落ちていく。ただ、よく動いている人は体力を保っている。周囲を見ても、仕事や家事、趣味のスポーツでよく動いている人は元気だ。

 よく動いている人とそうでない人とで、体力に大きな差ができていくのだろう。

 近年は定年後も何かしらの仕事をする人が増えているが、それも体力があってこそ。体力がなければ、40代50代だって仕事を減らさざるをえなくなるかもしれない。

 私も、気弱な日などは「いつまで仕事できるのかな……」などと思ってしまう。

負荷と休息のサイクルを回して体力を伸ばす

 座りっぱなしで仕事をし、疲れたらゴロゴロする日々では体力は落ちていくしかない。
何歳であれ、欠かせないのは運動だ。

 では、どんな運動をどのくらいすればいいのだろうか。

 医学的エビデンスに基づき、体力を高める方法が紹介されている『体力がすべて』には、運動についても詳しく書かれている。

 前提として、本書では「体力」を、長期の土台となる「最大体力」、いま引き出せる上限である「実効体力」、当日の残量である「余力」の3つの層に分けて捉えている。

 これら3つをそろえて、戦略的に設計していくことで、仕事で安定して高いパフォーマンスを出せるようにするのが趣旨だ。単に筋力や心肺持久力を高めるということではない。

「最大体力」を伸ばすには、運動によって体に負荷をかけ、その後の休息によって回復させるというサイクルを繰り返す。強い負荷をかけることよりも、サイクルを安定して長くまわすことが大事だ。

 過度な疲労をためず、運動の間隔を空けすぎずに続けることで、少しずつ最大体力が伸びていくのである。

1週間の運動メニューの目安

 よく健康維持やダイエットのためには「30分程度の運動を週に3~4回」と聞くが、本書で推奨している運動はそれよりもう少しだけ多い。

「1週間の運動メニュー」の目安は次のようなものだ。

・ゾーン2:週合計150分
・筋力トレーニング:週2~3回
・バランス練習:週2~3回
・柔軟:週2日以上
――『体力がすべて』p.64-65

 ゾーン2とは、低~中強度の有酸素運動のことだ。会話はできるが、歌うのは難しいと感じる程度のウォーキング、ジョギング、自転車こぎなどである。

 これを目安にして、様子を見ながら負荷を適切に設計していく。

 私は家でVRフィットネス(有酸素運動)を1日30分×4~5日/週やっていたので、この目安からするとギリギリか、ちょっと足りないようだ。また、バランス練習(片脚立ち、つま先立ち、ヨガ、太極拳など)は意識していなかった。

運動は「実効体力」も「余力」も改善する

 また、運動はその日の覚醒や集中を高めるのにも役立つ。その日の「実効体力」を高めてくれるのだ。

 本書によれば、短時間かつ中強度の有酸素運動や筋力トレーニングの後には、実行機能(注意の維持、切り替え、反応の抑制)をはじめとする認知機能が改善しやすいことが報告されているとのこと。

 それに、座りっぱなしでいると体にストレスがかかって集中力が切れてくるが、ストレッチなどの軽い運動をはさむことで活力が戻りやすくなる。「余力」を保つのにも効果があるわけだ。

 本書を読んで、追加したい運動が具体的になった。「最大体力」を伸ばしつつ、「実効体力」「余力」をうまくコントロールできるようにすれば、長く元気に仕事ができるに違いない。

(本記事は『鍛えるよりも「使い方」 体力がすべて』に関する特別投稿です)