担当者に任せたのに、細かい部分が気になってしまう。自分のやり方の方が正しいと感じてしまう――その「こだわり」が、実はチームの成果を下げていることがある。

思い入れが強いほど、口を出したくなる
長年関わってきた仕事や、自分が立ち上げたプロジェクトには、
強い思い入れが生まれやすい。
担当者に引き継いだあとも、
「サムネイルの文字色が違う」「BGMの選曲が自分の感覚とズレている」
といった細部が気になり、つい指摘してしまう。
こうした細かい指摘を繰り返すことが、担当者にどんな影響を与えるか。
当初は視聴者のために動画をつくっていた担当者が、
いつしか「上司に怒られないための動画」をつくるようになっていく。
判断の基準が、成果から上司の顔色へと移ってしまうのだ。
上司のこだわりが、現場の創造性を殺していた
私は長年、自社のYouTubeチャンネルを運営してきました。思い入れが強いため、担当者に編集を任せた後も、つい口を出してしまったのです。
「サムネイルの文字色が違う」「BGMの選曲が私の感覚とズレている」。
私が細かく指摘すればするほど、担当者はどうなったか。視聴者のために動画をつくるのではなく、「社長に怒られないための動画」をつくり始めたのです。「ここを変えたら、また社長に何か言われるかもしれない」と彼らの思考は完全に内向きになり、創造性は死に、現場は混乱しました。
しかし、あるとき、私のこだわりを捨てて完全に任せてみたところ、衝撃の事実が判明しました。私の好みではない動画の方が、クリック率も再生維持率も高かったのです。私のこだわりは、成果に貢献していなかったどころか、ただの「ノイズ」であり、数字の足を引っ張っていただけでした。
「ここを変えたら、また何か言われるかもしれない」――
担当者の思考が完全に内向きになり、創造性は失われ、現場は混乱していったという。
上司の好みに合わせることがゴールになってしまうと、
本来の目的である「視聴者に届く動画をつくること」から、
エネルギーが離れていってしまう。
転機は、著者が自分のこだわりを手放し、完全に任せてみたときに訪れた。
その結果、著者自身の好みとは異なる動画の方が、
クリック率も再生維持率も高かったという事実が判明する。
上司のこだわりは成果に貢献していなかったどころか、
数字の足を引っ張るノイズでしかなかったということだ。
「任せる」は、口を出さないことと同義だ
部下に仕事を任せると言いながら、細部に口を出し続けることは、
実質的には任せていないことと同じだ。
担当者は自分の判断で動けなくなり、上司の承認を待ちながら動く状態になっていく。
自分の好みや経験から来るこだわりが、必ずしも成果につながるとは限らない。
むしろ、現場に近い担当者の感覚や判断の方が、
実際の成果に直結することも多い。
本当に任せるためには、結果に対して責任を持ちながらも、
プロセスへの介入を意識的に手放すことが必要になる。
任せた仕事に口を出したくなったとき、それが「成果のためか」「自分の好みのためか」を一度だけ確認することだけでいい。
(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに作成しました)



