住宅メーカーに来るお客さまは、「住宅ローン」という人生最大の借金をすること自体、初めてのお客さまがほとんどである。

 一般的なカードローンなら不安など感じない方でも、住宅ローンの審査となったら、まったく不安を感じない人は少ないだろう。まずは目先の審査に不安を抱かせることで、いったんは返済の不安から目を遠ざけさせるわけだ。

 ただ、この「不安を煽る」行為というのは、お客さまがある程度、「夢」に対して仕上がった状態じゃないと効力を発揮しない。

審査通過を祝う
営業マンの本音

 展示場から始まって、間取り図面や外観パースを見て感激し、見積もりを見て月々の返済額を確認し、「これならいける、この支払いでこの家に住める」という夢への確信……住宅営業マンは、この夢から覚めさせない努力を惜しみなくしてくる。

 お客さまの夢がピークの状態で、万が一にも住宅ローン審査から落ちてしまったら、そもそも返済の心配など必要なくなるし、マイホームの夢自体が遠ざかってしまうわけだから、とにかく審査を通過することを最優先に考えるのは当たり前の話。

 夢を持たせながら不安を煽る営業マン……マイホームを持つことに本気になったお客さまのなかには住宅ローン審査申し込みから回答が出るまで夜も眠れない人もいるだろう。

 そして銀行から「審査通過」の連絡が入ったら、お客さまの手を握りしめ、「おめでとうございます!!」と、ともに喜びを分かち合うのが営業マンというものである。

 30年、35年という負債を抱える人に向かって本当におめでたいのかは少々疑問であるが、とりあえず目先の目標を達成できたことについては「おめでとう」といえる。

 ただ審査を通過したことで次にさっそく返済を心配されては困るのが住宅営業マン。住宅業界は「銀行は返せない人には貸さない」「銀行がこの金額を貸すと決めたのだから大丈夫」といった具合に、住宅ローンの審査が銀行のお墨つきという根も葉もない根拠でお客さまを安心させるものである。