たとえば会議に出席して、上司や先輩が間違いを言った時に、どうしてもひとこと言わなければ気が済まない人がいます。「それ、間違っていますよ」と言ってしまうタイプです。そういう人は、銀行では確実に出世できません。

忖度せず意見を言う人は
銀行を辞めてやりたいことをやる

 一方で、間違っているとわかっていても、会議の場では一切指摘しない人もいます。そして会議が終わった後、その上司や先輩のところに行って「実はかくかくしかじかで……」と言うのです。こういう人は出世の階段をのぼっていきます。

 日本の銀行はゼネラリスト志向なので、何か特定の分野に秀でていることよりも、たとえばコミュニケーション能力が高いとか、上下関係を重んじるといった、組織人としての常識を弁えた人が出世します。

 一方、実力がめちゃくちゃあって、上司や先輩にも忖度することなく、どんどん自分の言いたいことを言える人材は、銀行で出世できるのでしょうか。

 少なくとも、私がこれまで見聞きしてきたなかで、この手のタイプで偉くなった人は一人もいません。これからはひょっとすると、そういう人材が重用される時代が来る可能性もありそうですが、今のところ、おそらくこの手の人材が銀行の頭取やホールディングスの社長になることはないでしょう。

 それよりも、この手のタイプの人材は遅かれ早かれ銀行を辞めて、自分のやりたいことをやっていくと思います。

 たとえば日本興業銀行を辞めて、楽天グループを創業した三木谷浩史氏や、野村證券を辞めて、ソフトバンクの孫正義氏と一緒にソフトバンクインベストメント(現SBIホールディングス)を立ち上げた北尾吉孝氏も同じタイプだと思います。

 要は、いわゆる規格外の人間には出世しにくい人事考課になっているのです。

銀行員「50歳定年説」は
どこまで本当なのか

 銀行への就職、昇進の話をしたら、キャリアの締めくくりの話もしておく必要がありますね。

 今から10年くらい前の銀行では、実質定年は50歳などと言われていました。銀行以外の一般企業だと、当時でも55歳で役職定年、60歳で本当の定年でしたから、ずいぶんと若い年齢で一線を退かされるというイメージです。