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近年、不運にも就職活動と不況が重なってしまった「就職氷河期世代」がリストラの対象となっている。この世代の受難はそれだけではなく、「三重苦」の状態にあるという。特集『黒字リストラの恐怖!部長&課長を襲う希望退職と役職定年の絶望 出世・給料の残酷』の本稿では、サービス業、食品、住宅メーカーの3社の人事担当者が、就職氷河期に入社した社員の実態を暴露する。(人事ジャーナリスト 溝上憲文)
●サービス大手 人事部門 担当部長Aさん(60代男性)
●食品大手 人事部門 部長代理Bさん(50代男性)
●住宅大手 人事部門 次長Cさん(50代男性)
リストラ対象の氷河期世代は給料も上がらず
年齢による待遇格差に労働組合トップも警鐘
近年、黒字リストラを含む早期退職者募集が目立つ。狙い撃ちにされているのが50歳前後の就職氷河期世代だ。この世代が不遇なのはそれだけではない。昨今、春闘の時期は賃上げブームに沸き立っているが、実は氷河期世代はその恩恵を受けていないのだ。
今年3月24日に厚生労働省が公表した2025年の「賃金構造基本統計調査」によると、25~29歳の賃金は前年比4.6%増、30~34歳では4.3%増となっている。一方、45~49歳は1.4%、50~54歳は2.2%しか増えていない(下表参照)。
大学卒の男性に限定すると、25~34歳の上昇率が5%を超えているのに対し、45~49歳はなんと0.4%の減少、50~54歳もたった1.4%しか増えていないことが明らかになった(下表参照)。
若年層は25年の生鮮食品を除いた物価上昇率3.1%を上回り、実質賃金はプラスだ。その一方で、中高年層はマイナスか横ばいの状態にあえいでいる。この層は、賃金が少し上がったとしても、物価上昇に伴う生活苦に襲われる。
総務省の「家計調査」(25年)によると、1世帯当たりの消費支出は中高年が最も高く、2人以上の世帯で世帯主が45~49歳の世帯で1カ月36.1万円、50~54歳では38.0万円だ。この世代は修学期の子どもを抱える人も多く、出費が増えていく一方だ。
中高年層の賃上げ率の低さには、労働組合も危機感を抱いている。194万人の組合員を擁する日本最大の産業別労働組合であるUAゼンセンの永島智子会長は筆者の取材に対し、こう語った。
「氷河期世代の中には、この30年間にほとんど賃金が上がらず、ベアを経験したことがない人、転職もうまくいかず派遣やパートのままの人、企業の経営状況が悪化し、つらい経験をした人など、さまざまな人たちがいて、この30年は厳しい時代だった。さらに今は、なだらかな賃金カーブにさしかかるところで下と上に挟まれ、賃金制度の変更などによって賃金がなかなか上がらない状況にたまたま居合わせている人たちがたくさんいる。この問題から各社の労使が目を背けることなく、課題解決に向けて取り組むことが求められている」
氷河期世代の受難はここまで述べてきたことにとどまらない。今や会社での地位も不安定になりつつあるのだ。
次ページでは、サービス業、食品、住宅メーカーの3社の人事担当者が、就職氷河期に入社した社員の実態を年収の具体的金額などと共に赤裸々に語る。厳選採用でライバルが少ないはずの氷河期入社組の出世を阻むのは、いったい何だろうか。









