閣議に臨む高市早苗首相ら閣議に臨む高市早苗首相ら=7月14日 Photo:SANKEI

混乱を深める食料品消費税減税問題
必要なのはむしろ消費増税

 高市早苗政権が、物価高の下での家計支援策として、実施を目指す食料品の消費税減税は、当初は、社会保障国民会議で6月中に意見を集約し、高市首相が最終判断する予定だった。

 しかし、消費税率1%分の規模で中低所得層に対し所得に連動した給付(所得連動型給付)の先行導入とともに、2027年4月から食料品の消費税率を2年間、「1%」に軽減し「実質ゼロ」とする「中間取りまとめ案」に対して与野党双方から異論が噴出し、国会審議の空転も重なって、議論は「延長戦」にもつれ込んでいる。

 自民党内にも対立がある。先の総選挙で掲げた「食料品の消費税ゼロ」を守るべきだとの声がある一方で、必要な財源が確保されていない以上、減税そのものに慎重であるべきだとの意見もある。食料品の税率を下げれば、年間数兆円規模の税収減が生じる。これを恒久財源なしに行えば、財政悪化への懸念を強めることになる。

 さらに、27年4月の実施を目指すなら、制度設計だけでなく、法案の成立や政省令の整備、事業者のレジシステム改修、会計処理の変更などを短期間で進めなければならない。8%の軽減税率導入時にも小売業者や飲食店に大きな負担がかかったが、今回は税率をさらに細かく変えることになる。

 政府が「早く決めれば間に合う」と考えても、現場が実際に対応できるかどうかは別問題だ。

 日本経済は今、円安と物価上昇によって重大な局面にある。輸入物価の上昇は、食料品、エネルギー、日用品など広い範囲に及び、家計を圧迫している。物価高に対する家計支援策は必要としても、それが食料品の消費税減税なのかどうか。

 超高齢社会の日本で消費税収は社会保障を支える基幹財源でもある。暮らしの安心や財政基盤の安定を考えれば、むしろ必要なのは消費税の増税だ。