子どもには「自分で考える力」を身につけてほしい――そう願う親は多い。しかし、その思いが行き過ぎると、「困っても人に頼れない子」を育ててしまうことがある。実は、子どもの頃の「助けを求める経験」は、大人になってからの働き方や周囲との信頼関係にも大きく影響する。話題の書『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』で紹介されているおやくそくの中から、将来につながる大切な習慣を紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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「わからないこと」を誰かに聞く経験の大切さ
「わからないことは誰かに聞くということを知らない子どもは多いんですよ」
30年以上小学校で教えてきたベテランの先生から、こんな話を聞いた。
その日の算数は、少し難しい文章題だった。
授業が終わってノートを確認すると、その子だけほとんど白紙のまま。
先生が「わからなかったの?」と聞くと、小さくうなずいた。
「じゃあ、どうして聞きに来なかったの?」
すると、その子は少し考えてから、こう答えた。
「自分でやらないとダメだと思ったから」
後日、お母さんと話す機会があった。
お母さんは普段から、「まずは自分で考えなさい」「それくらい一人でやってみなさい」と声をかけるようにしていたという。
もちろん、自立してほしいという思いからだった。
だが、その子は「困ったら相談していい」ということではなく、「困っても一人で解決しなければいけない」と受け止めていたのである。
「仕事ができる人」は「人に聞ける人」
実は、この姿勢は大人になってからの「仕事の仕方」にも大きく影響する。
「仕事ができる人」と聞くと、何でも一人でこなせる人を思い浮かべるかもしれない。
しかし、実際の職場では、その逆である。
仕事ができる人ほど、「わかりません」「確認してもいいですか」と早い段階で相談する。
一方、「迷惑をかけたくない」「自分で何とかしなければ」と抱え込む人ほど、問題が大きくなってから報告してしまう。
子どもにも、「まずは自分で考える」ことは大切だ。
ただ、それと同じくらい、「困ったら人を頼っていい」と教えることも忘れてはいけない。
「先生に聞いてみよう」「友達に相談してみよう」そんな経験を積み重ねることで、子どもは「自分で考え、それでも難しいときは相談する」という判断ができるようになる。
困っていることを相談できるようになろう
社会に出て求められるのは、何でも一人でできる力ではない。
必要なタイミングで周囲の力を借りながら仕事を進められる人こそ、「仕事ができる人」と信頼されるのである。
小学校入学前後に身につけておきたい93のおやくそくを収録した『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』には「こまっていることを つたえられるように なろう」という項目がある。
・「よく わかりません。 もういちど せつめい してください。」
・「おなかが いたいです。 ほけんしつに いっても いいですか?」
・「トイレに いきたいです。」
・「ひとりだと むずかしいです。 てつだって ほしいです。」
(『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用)
『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用拡大画像表示
「困った」と伝えることは、決して弱さではない。
むしろ、自分だけでは解決できないことを理解し、周囲と協力しながら前に進むために欠かせない力である。
子どもの頃に「困ったら相談していい」「助けを求めてもいい」という経験を積んだ子は、大人になってからも一人で抱え込まず、必要なタイミングで周囲の力を借りることができる。
その積み重ねが、学校生活だけでなく、仕事でも周囲から信頼され、活躍できる大人へとつながっていくのである。
(本稿は、『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』の発売を記念したオリジナル記事です)








