――特別支給の老齢厚生年金にはどのような支給要件があるのでしょうか。

古田弁護士:以下の要件が定められています。性別によって対象となる生年月日が大きく異なるため注意してください。

• 男性の場合、昭和36(1961)年4月1日以前に生まれたこと
• 女性の場合、昭和41(1966)年4月1日以前に生まれたこと※
• 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること
• 厚生年金保険等に1年以上加入していたこと
• 生年月日に応じた受給開始年齢に達していること

※共済組合等から支給される老齢厚生年金の受給開始年齢は男性と同じ

 在職中の方は報酬によって年金額が支給停止となる場合があります。近年60歳以降も働かれている方は多いためこちらも注意しましょう。

なぜパートタイマーの主婦は
年金の緑色の封筒を見落とす?

――主婦やパート女性が「緑の封筒を見落とす」パターンが多い理由はありますか?

古田弁護士:「自分はパートタイマーだったし年金は少ないはず」「夫の年金があるから」という思い込みがあります。実際には、第3号被保険者(扶養内の専業主婦)の期間も老齢基礎年金として積み上がっています。

 さらにパートでも厚生年金に加入した期間が1年以上あれば、老齢厚生年金も上乗せされます。「たいした金額ではない」と思い込んでいる方ほど、封筒を軽視して見落としやすいため注意が必要です。

――「特別支給の老齢厚生年金」を知らない方もいそうです。

えっ、私も対象だったの?「緑色の封筒」を捨てた63歳主婦、2年後に知った〈申請しないともらえないお金〉の正体古田 雄哉(ふるた・ゆうや)/One Asia法律事務所 大阪オフィス パートナー弁護士。社会保険労務士。 立命館大学法科大学院修了後、兵庫県内の法律事務所、同事務所の支店長職を経て現職。交通事故や労災等の損害賠償訴訟、および中小企業の労務管理・紛争予防や国際相続を専門とする。弁護士と社労士のダブルライセンスを活かし、労働環境の整備から訴訟対応までワンストップで支援。共著に『南アジアの法律実務』『問題不動産 対応マニュアル』などがある。

古田弁護士:女性の場合、昭和41(1961)年4月1日以前に生まれた方は60代前半から老齢厚生年金の一部を受け取れます。

 「特別支給」という言葉から「特別な人だけ」と誤解されますが、該当する生年月日の方が要件をクリアしていれば支払われる可能性が高いでしょう。

 問題は、これが「申請しないともらえない」制度である点です。漏れないように封筒を開けて、確実に申請を進めましょう。

――では緑の封筒が届いたら、具体的に何をすればよいですか。

古田弁護士:封筒を開封し、同封の請求書に必要事項を記入して必要書類を添付して送付します。請求書には戸籍謄本や住民票など生年月日を確認できる公的書類や、お金を受け取るための「通帳の写し」などの添付書類が必要です。

 用意に時間がかかることもあるため、速やかに手続きを進めることが大切です。万が一封筒をなくしても、日本年金機構に連絡すれば再発行してもらえます。

 不安がある方は今すぐ「ねんきんネット」、または最寄りの年金事務所に連絡して、自分の受給開始可能日を確認してください。

※プライバシー保護のため、登場人物に関する情報の一部を変更しています。

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