80代母はひそかに
二次相続対策を始めていた
しかし、この騒動をのり子さんはある程度予期していました。夫の相続の際にすべての財産をのり子さんが取得したのは、一次相続で税負担を抑えられることもありましたが、兄弟げんかを避けるためというのも一つの理由だったからです。
「自分が死んだ後で、息子たちに争ってほしくない」
そう思い立ったのり子さんは、入院する半年前に税理士へ相談し、二次相続まで考慮した遺言書を作成していました。
のり子さんの遺言書には、以下のような内容を記しました。
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一見すると長男への配分が大きく見えますが、のり子さんが意図したのは二次相続時の税負担や納税資金にも配慮した財産承継でした。のり子さんの遺言書のポイントは、夫の一次相続でのり子さんが取得した財産をどうするのか、という出口戦略にありました。
のり子さん名義の財産2億円のうち、同居する健一さんには自宅不動産や借地、納税資金となる預貯金を、誠司さんには預貯金を中心に相続させる内容としました。自宅に住み続けられる環境を守るとともに、将来の税負担や兄弟間の不公平感にも配慮した配分だったのです。
また、本件では誠司さんにも十分な財産を取得させる内容としており、遺留分にも配慮されています。特定の相続人に財産を集中させる遺言は、かえって新たな争いを生むこともあるため、遺言書の作成にあたっては遺留分への配慮も重要なポイントとなります。
のり子さんは退院後、兄弟に遺言書の存在を明かし、「仲良くしてほしい」と伝えました。誠司さんも遺言書に込められた母の思いを理解し、介護に協力するようになったそうです。







