ダイエットを頑張っているのに痩せない。その原因は食事ではなく、日々の「ストレス」や「睡眠不足」にあるかもしれません。肥満治療の最前線に立つ減量専門医、アンドリュー・ジェンキンソン医師によれば、ストレスホルモンは脳に「脂肪を蓄えろ」と命令し、睡眠不足は食欲を暴走させるといいます。無意識に太るメカニズムを解説します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

無意識に「脂肪をため込む」最悪の習慣・ワースト1Photo: Adobe Stock

ストレスは脳に「脂肪を蓄えろ」と命令する

体重のセットポイント(脳がその人に望む体重)を上昇させるのは、西洋の食べ物だけが原因ではない。

その人を取り巻く、他の要因やライフスタイルも影響を及ぼしうる。

ストレスや睡眠不足もそうだ。

ストレスは血中のホルモン、コルチゾールを増やす。

コルチゾールは、生存のためのストレス反応を引き起こし、食欲と血糖値を上昇させる。

その結果インスリンが大量に分泌され、体重を調節するホルモンであるレプチンの脳への伝達経路が阻害される。

するとレプチン抵抗性が生じ、セットポイントが上昇して、体重が増える。

食べる量を増やし、エネルギー消費量を減らして新たに設定されたセットポイントまで体重を増やすよう、脳が体に指示するからだ。

睡眠不足が「太るホルモン」を増やす

現代の都市に暮らす人の多くが睡眠不足だ。

そしてこれもまた、体重のセットポイントを上昇させうる。

目の後ろにある小さな松果体は、光の弱まりに反応してメラトニンというホルモンを分泌する。

それにより、暗くなると眠気を催し、健全な睡眠が取れる。

だが困ったことに、人工光が溢れる環境で暮らしていると、睡眠を促すに足る量のメラトニンが分泌されない。

メラトニンには、ストレスやコルチゾール低減という効果もある。

メラトニンが不足すれば、コルチゾール濃度が上昇し、インスリンが増加、するとまたしても脳へのレプチンシグナルの伝達が阻害される。

つまりレプチンシグナルが感知されないのだ。

そのため、体重はその人のセットポイント上昇に伴って増えていく。

だから交代勤務、それも特に夜勤につき始めると、概して体重増加が見られる。

アンドリュー・ジェンキンソン Dr.Andrew Jenkinson

名門ユニバーシティ・カレッジ病院の肥満(減量)外科および一般外科医、コンサルタント。サウサンプトン大学医学部を卒業後、イングランド王立外科医師会のフェローシップに参加。腹腔鏡手術の外科学修士課程を修了し、ホーマートン大学病院にてロンドンで最も予約の取れない肥満治療病棟の設立に貢献した。
前腸(食道と胃)に関する世界的権威としても知られ、2000年以来、100以上の科学論文を発表。現在はNHS(国民保健サービス)に従事しながら、ロンドンクリニックとウェリントン私立病院の肥満外科部門の責任者を務める。