動画やゲームが身近になった今、「子どもがなかなか本を読まない」と悩む親は少なくない。しかし、読書は単に知識を増やすためのものではない。語彙力や思考力はもちろん、相手の気持ちを理解する力や、自分の感情を整理する力も育んでくれる。では、子どもが自然と本を好きになるために、親はどのような関わり方をすればよいのだろうか。話題の書『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』では、本を楽しむためのおやくそくも紹介している。本記事では、教育評論家の親野智可等氏に、子どもの読書習慣を育てるコツについて話を聞いた。

「本を読まない子ども」が将来苦労する理由・ワースト1Photo: Adobe Stock

「本を読む」ことでさまざまな力が育つ

――動画やゲームが身近な時代になり、「本を読む」という習慣が少なくなっている家庭も老いと思います。そもそも、子どもに「本を読む」習慣は身につけさせるべきなのでしょうか。

親野智可等氏(以下、親野) 「本を読む」すなわち「読書習慣」は身につけさせるべきです。

読書習慣がある子は、まず語彙力がつくんですよね。
語彙力がつくということは、文章を読んだり、人の話を聞くときの「理解力」が深まります。

自分の気持ちや考えを深めるときにつかうのも「語彙力」ですし、それを表現して相手に伝えるのも「語彙力」です。

ですから、語彙力が増えることで、理解力、思考力、表現力がつくわけです。

――「本を読む」ということを通して、さまざまな力が育つんですね。

親野 そうです。
もちろん、それはいろんな勉強にも応用できますし、学力にも直結していきます。

さらに、読書をしていると、いろいろなことを追体験できるんですね。
例えば絵本や物語の中で、主人公がいじめられているとします。
すると、「いじめられると、こういう嫌な気持ちになるのか」ということを追体験するわけです。

あるいは、ペットを亡くして悲しんでいる主人公がいたら、「ペットを亡くすと、こんなに悲しい気持ちになるんだな」ということがわかる。

直接経験ではないけれど、間接経験としていろいろな経験ができるわけです。
そういう経験をしている子は、相手の気持ちを思いやれるようになるんですね。

「この子は今、悲しいんだな」「この子は今、いじめられてつらいんだな」ということがわかるようになる。
だから、思いやりの気持ちが育つんです。

――たしかに「人の気持ち」を理解する練習に、本を読むことはとても役立ちますね。

そうですね。またそれと同時に、自分の気持ちをメタ認知する力もつきます。

例えば、「今、自分は○○ちゃんにこんなことを言われて、すごく嫌な気持ちになっている」ということを、自分で理解できるようになる。

これが「メタ認知力」ですよね。
「メタ認知力」がつくことで、感情に飲み込まれずに、自分の気持ちを冷静に管理ができるようになる。

ですから、読書習慣というのは、子どもを総合的に伸ばしてくれる本当に良い習慣なんですね。

「本の楽しみ方」を教える

――お話を聞いて、読書習慣の重要性がわかりました。では、子どもに読書習慣をつけさせるには、何をするべきなのでしょうか。

親野 まずは「本の楽しみ方」を教えてあげることが大切ですね。

まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』には、「ひとりで ほんを よもう」という項目があります。この項目では、どのように本を楽しめばいいかという視点が解説されていますよ。

「本を読まない子ども」が将来苦労する理由・ワースト1『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用
拡大画像表示
① ひょうしを みて どんな おはなしか かんがえてみよう。
② きもちを こめて こえに だして よんでみよう。
③ えのなかにも おもしろいものが たくさん あるよ。
④ ほんの おはなしを かぞくに おしえてあげよう。

『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用

親野 また、効果的なのは、やっぱり読み聞かせです。

読み聞かせでは、子どもはママやパパのぬくもりや愛情を感じながら、本の世界を楽しむことができます。
すると、「親と過ごす時間は楽しい」という気持ちと、「本の世界は楽しい」という体験が結びつき、自然と本に親しみを感じるようになるのです。

ただ、一つ気をつけてほしいことがあります。

読み聞かせというと、絵本や物語を思い浮かべる人が多いんですけど、子どもの中には、あまり絵本や物語が好きではない子もいるんですよ。
例えば、図鑑が大好きな子もいますよね。
そういう子には、無理にストーリーのある絵本や物語を読ませなくてもいいんです。
本人が好きなものから入ればいいのです。

それから、同じ本を何回も何回も読んでほしいと言う子がいます。
大人はつい、「それ、もう読んだでしょ」と言いたくなるんですけど、これは子どもがその本を楽しいと感じている証拠なんです。
同じ話を繰り返し聞いて、「あ、このあとこうなるな」ということを楽しんでいる。

その反復の中で、本の楽しさを味わっているんですね。
だから、何十回でも読んであげてほしいと思います。

(本記事は『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』の発売を記念したオリジナル記事です)