「お客さんが怒っています」。部下からそう報告されたとき、上司の対応が問われる。詳しい事情も聞かずに「とりあえず謝っておいて」と任せたり、「お客さんなんだから仕方ない」と受け流したりすれば、部下を一人で矢面に立たせることになりかねない。特に、顧客から行き過ぎた言動を受けている可能性がある場合には、上司がどう動くかが重要になる。では、部下から「お客さんが怒っています」と言われたとき、上司が最初にやるべきことは何なのだろうか。『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』の著者・本田淳也氏が、その対応を解説する。

部下が「お客さんが怒っています」と言ってきたとき、上司が最初にやるべきこと・ベスト1Photo: Adobe Stock

「とりあえず謝っておいて」では、いけない

「お客さんが怒っています」――部下からそう言われたとき、どう返しますか。

「まあ、お客さんだから多少は仕方ないよ」「とりあえず謝っておいて」
――こういった返し方をしてしまう上司は、少なくありません。

10月1日からカスタマーハラスメント対策が義務化されます。
相談窓口や規程を整えることは大切です。
でも、実際に問題が起きたとき、リーダーがどう動くかが問われます。

上司が最初にやるべきことは「部下を一人で対応させない」

客から強い言動を受けた部下に、上司がまず動けることは「部下を一人で対応させないこと」です。

ただし、「客に怒鳴られた=カスハラ」と即断はできません。
カスハラは、顧客等による社会通念上許容される範囲を超えた言動によって、労働者の就業環境が害されるものをいいます。強い口調や苦情のすべてが、カスハラにあたるわけではありません。
何があったのかを確認し、会社としてどう対応するかを判断する必要があります。

それでも、最初に部下へ伝えるべきことは一つです。
「わかった。ここからは私も一緒に対応する」――この一言です。

部下は、上司が自分にどう接したかを見ている

カスハラが疑われる言動を受けた部下は、客の言動だけでなく、そのとき上司がどう対応したかも見ています。
「面倒なことを持ってきたな」という態度を取られたのか。
「わかった、私が前に出る」と動いてくれたのか。その違いは、部下の心に残ります。

一人で矢面に立たされたと感じた部下は、次から相談をためらうようになります。
「またあの反応をされるかもしれない」と思えば、我慢して一人で抱え込むようになっていく。
それが積み重なると、職場全体が疲弊していきます。

カスハラ対策で問われるのは、リーダーのふるまい

制度は会社がつくるものですが、部下が「ここは守ってもらえる」と感じられるかどうかは、リーダーのふるまい次第です。
いざというときに前に出てくれる上司がいる。
その安心感があるからこそ、部下は目の前の仕事にも安心して向き合うことができます。