AIブーム支える大型供給契約、当てにならずPhoto:San Francisco Chronicle/Hearst Newspapers/gettyimages

 テキサス州オースティン市警のパトリック・オボルスキー氏は、市内中心部の交通量の多い交差点で警備に当たっていたとき、米ウェイモのロボタクシーが対向車線を走りながら車列を追い越していくのを目撃した。

 同じ状況に置かれた警察官なら誰でもそうするように、オボルスキー氏はその車に向かって走り出した。

 そして、現代ならではの取り締まりのパラドックスに直面した。誰も運転していない場合、誰が反則切符を受け取るのか。

 アルファベット傘下のウェイモ、テスラ、アマゾン・ドット・コム傘下のズークスといった企業の自動運転タクシーが全米に普及する中、州政府や地方自治体、連邦規制当局は対応に追われている。法執行機関は、交通規則を破ったり事故に関与したりしたロボタクシーへの切符の切り方、さらには処罰の方法を、ほぼ独力で模索してきた。

「正直に言うと、道路で見かける多くのドライバーよりもはるかに上手な運転をしている」とオボルスキー氏は語る。

 警察にとって、自動運転車(AV)には利点もある。ほとんどの場合、人間よりも無謀な運転をせず、最高速度に上限を設けており、アルコール検知テストで引っかかることもない。メーカーは、自社の車は統計的に人間のドライバーよりも安全だと主張している。

 しかし、全国各地の警官によると、これらの車両は工事区間や緊急事態のような予測不能な状況への対応に苦労しており、警官や救急隊といったファーストレスポンダー(初動対応者)の指示に従う手段を欠いている場合もある。

 こうした問題はAVが直面する多くの課題の一つだ。米国にはAVの挙動を規定する統一的なルールや規制がなく、各州・都市が独自に取り締まり方法を模索している。今週、米道路交通安全局(NHTSA)の局長は、開発者に対し、車両と初動対応者との連携方法を改善するよう求めた。