「ホギの二の舞はごめんだ」ダルトンの株主提案が可決寸前で「首の皮一枚」なヘルスケア企業の実名アクティビストが今年も猛威を振るった Photo:医薬経済社
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 6月の株主総会シーズンが今年も終了し、乗り切れた企業の総務担当者らは恐らくホッとしていることだろう。フジ・メディア・ホールディングス(HD)のような広く社会の関心を集めた案件こそなかったとは言え、大和総研が6月4日に公表したレポートによれば、6月株主総会を対象としたアクティビスト(物言う株主)の株主提案は5月末時点で前年比2社増となる53社に達し、過去最多を記録したそうだ。25年同様、医薬品や医療機器などヘルスケア関連企業にもその嵐は容赦なく襲った。

 製薬業界内で最も注目を浴びたのはあすか製薬HDと米投資ファンドであるダルトン・インベストメンツの攻防だろう。ダルトンによる急速な株の買い増しにあすか製薬HDが反発し、一定の水準を越えて進んだ場合、無償で新株予約権を他の株主に割り当てられるようにして持ち分を希薄化する対抗措置、いわゆる「ポイズンピル」を25年に導入したのがこれまでの経緯。その後、ダルトンが買い増し断念の意向を表明したことから小康状態だったものの、年明け以降、同グループから取締役2人を受け入れなければ株式を「最大45%まで」(あすか製薬HD)取得することを目的とした株式公開買い付け(TOB)を行うと「威迫」(同)されたこともあり、対立が再燃していた。

 26年の株主総会に向けて、ダルトンは関連ファンドであるニッポン・アクティブ・バリュー・ファンド(NAVF)を通じてジェームズ・ローゼンワルド最高投資責任者(CIO)ら2人を監査等委員ではない取締役に選任することを求める株主提案を実施。あすか製薬HDは対抗措置発動の是非を問う議案を上程し、応戦した。

 ここで不気味な影を落としたのが情報誌『ファクタ』が26年1月号に掲載した記事だった。ダルトンと盟友関係にある米投資ファンドのスティール・パートナーズがあすか製薬HDに株付けしたと報じたのだった。大量保有報告書が出ていないことから、提出義務が生じない5%未満に抑える“寸止め”を行っているのではないかとの「疑心暗鬼が広がっていた」とあすか製薬HD中枢部門の社員は証言する。約21%の同社株式を有するダルトンと、スティール、あるいは他の複数の外資系ファンドが連携していたとすれば、株主提案が通ってしまう可能性は高まる。

 しかし、蓋を開けてみれば、あっさりあすか製薬HD側が可決され、ダルトン側は否決された。関係者によると6月24日の株主総会の採決は、例年の「拍手」ではなくマークシートを用いた「投票」だったというが、25日付「臨時報告書」によると株主提案への賛成比率は22%。連名分も含めたダルトンの持ち分に若干、上乗せされただけに過ぎず、支持が広がらなかったことが浮き彫りとなった。とはいえ、ローゼンワルド氏は一部メディアに対し、引き続きあすか製薬HDの株式を持つと宣言しており、対立は持ち越された。